タイトル |
チューリップのりん片培養大量増殖法の開発 |
担当機関 |
富山農技センター |
研究期間 |
1994~2001 |
研究担当者 |
宮崎 有弘
小泉 昌広
飯村 成美
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発行年度 |
2001 |
要約 |
チューリップの組織培養は困難であるとされてきたが、富山県育成品種等についてりん片からの細胞培養系を開発した。培地上で球根の大量増殖を行うことができる。
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キーワード |
チューリップ、りん片、カルス、大量増殖
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背景・ねらい |
チューリップ球根は増殖効率が極めて低く、その新品種育成には20年以上の年月が必要である。組織培養による育成期間の短縮のため、育種の現場において、チューリップ培養系の確立が切望されていた。そこで、培養材料として最も利用しやすい球根りん片を用いた培養再分化系を開発し、組織培養による球根増殖技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 次亜塩素酸ナトリウム水溶液で殺菌したチューリップ球根から厚さ1~1.5mmのりん片切片を切り出し、カルス誘導培地に置床する。球周10cmの球根からは約300個の切片を切り出すことができる。カルス誘導培地はMS培地を基本培地とし、植物ホルモンのBAおよび、2,4-Dまたはピクロラムを0.2~2mg/l添加する。カルス誘導の最適培地条件は品種によって異なるため、植物ホルモン濃度の組み合わせについては品種毎に検討して最適化を行う(表1)。培養は20℃、暗黒下で行い、1ヶ月毎に継代培養を行う。約3ヶ月間の培養で切片上にカルスが形成される(図1、2)。
- カルスが形成された切片をシュート誘導培地に移し、20℃、16時間照明、8時間暗黒条件下で培養する。シュート誘導培地はMS培地にBAおよび、2,4-Dを0.5mg/l添加する。約3ヶ月間の培養でシュートが形成される。
- シュートが3cm程度に伸長したところで、4℃、3ヶ月間の低温処理を行う。その後、20℃、16時間照明、8時間暗黒条件下で培養し、シュートの枯れ上がりとともに球根が形成される。培養はホルモンフリーのMS培地で行う。形成された球根の直径は7~12mmであった。
- この培養系により球周10cmの球根1球から、200球以上の小球根へと増殖することが可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 育種における球根増殖期間の短縮に活用できる。
- チューリップ再分化系として、遺伝子工学的育種への応用が可能である。
- 培養で形成された球根は、開花まで圃場での球根養成が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
新品種育成
チューリップ
品種
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