タイトル | 環境保全型露地野菜営農の作付体系と土壌消毒代替技術の導入可能性 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
徳田博美 高橋太一 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 輪作に基づく環境保全型露地野菜営農の作付体系は収益を最大とする品目別面積と病虫害発生抑制等に配慮したいくつかの作付規則で決定され、また資材のリサイクル利用等により太陽熱処理等の土壌消毒代替技術の導入が経営的に有利となる。 |
キーワード | 輪作、環境保全型露地野菜営農、太陽熱処理、土壌消毒、 |
背景・ねらい | 露地野菜における環境保全型技術では輪作が重要な要素となるが、実際の露地野菜産地では単作化が進み、輪作を取り入れた経営は少ない。また2005年より臭化メチルの使用が規制され、土壌消毒代替技術の確立が急がれている。 地域総合研究(関東平野高品質野菜)の実証農家は、輪作を基本として土壌消毒代替技術を取り入れた環境保全型の露地野菜作を実践しているが、その経営データから輪作型の作付体系の特質と太陽熱処理等の土壌消毒代替技術の導入条件を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 実証農家では、多数の露地野菜を組み合わせた経営で高い労働生産性と農業所得を実現している。農薬費、肥料費等の物財費が低く抑えられていることが収益性を高めている重要な要因となっている(表1)。 2. 実証農家の品目別作付面積は、実証農家の経営データに基づき線型計画法により算出した所得最大となる品目別面積とほぼ一致しており、実証農家は所得最大となるように品目別作付面積は決定されている(表1)。 3. 実証農家の品目ごとの作付配置は、病虫害の発生を抑制するために、①連作は回避する、②ネギの後作にはレタスを作付けない、③キタネグサレセンチュウの拮抗植物マリーゴールドかこの線虫密度低下の効果があるサトイモを3年に1回は作付ける、等の条件をできるだけ満たすように決められており、作付履歴から畑地ごとに実証農家が設定している条件を課した線型計画モデルで実際の作付配置がある程度再現できる(表2)。 4. 土壌消毒代替技術である秋冬ニンジン前の太陽熱処理および秋冬大根前のマリーゴールドの作付は土壌消毒を伴う慣行の体系と比べて生産費、労働時間が大きいが、実証農家で行っているように太陽熱処理に利用したマルチ資材をサトイモのマルチに再利用することで資材を節約し、マリーゴールドの作付に2~3年の線虫防除効果を見込んで、線形計画法で評価すると土壌消毒代替技術が選択される(表3)。土壌消毒代替技術は資材の有効利用を図ること等で経営的にも有利な技術となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 実証農家で輪作が成立している条件に①自宅周辺への畑地の集積、②多品目の野菜の販売が可能な流通チャネルの確保がる。 2. 太陽熱処理、マリーゴールド作付は、それらが実施される7、8月が労働力、土地利用ともに余裕のある時期であることが重要な条件となっている。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 経営管理 さといも 土壌消毒 にんじん ねぎ 農薬 防除 マリーゴールド 輪作 レタス |