出穂期窒素追肥による小麦子実タンパク上昇効果の土壌間差とその要因

タイトル 出穂期窒素追肥による小麦子実タンパク上昇効果の土壌間差とその要因
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1999~2001
研究担当者 中辻敏朗
西尾 隆
伊藤純雄
発行年度 2001
要約 出穂期窒素追肥による小麦子実タンパク質含有率の上昇効果には土壌間差が認められる。追肥窒素1 kg/10a当たりの上昇量(%)は、典型淡色黒ボク土:0.07、細粒質普通灰色低地土:0.12、多腐植質厚層黒ボク土:0.19、細粒質台地黄色土:0.37である。上昇量の土壌間差は、出穂期の小麦地上部窒素含有量の影響を受けている。
キーワード 小麦、子実タンパク、出穂期、地上部窒素含有量、窒素追肥、土壌間差
背景・ねらい 国産小麦の用途の大半はうどん用であり、製粉業界からは原粒子実タンパク質含有率(以下、タンパクと略)をうどんに適した10~11 %範囲に収めることが望まれている。既往の研究では、タンパクの制御には出穂期前後の窒素(N)追肥が有効で、灰色低地土転換畑では10a当たり1kgのN追肥によりタンパクが0.4~0.6 % 程度上昇することが認められている。しかし、この効果の土壌間差は明らかでない。そこで、麦緊急開発プロジェクトで育成された関東・東海向けの新品種「あやひかり」を供試して、出穂期のN追肥によるタンパク上昇効果を同一気象条件のもとで土壌の種類別に明らかにするとともに、上昇効果の土壌間差に影響する要因を推察する。
成果の内容・特徴 1.
N肥料無施与条件で栽培した小麦の地上部N含有量から供試土壌のN肥沃度を判断すると、細粒質普通灰色低地土>典型淡色黒ボク土>多腐植質厚層黒ボク土>細粒質台地黄色土の順序である(表1)。
2.
N無追肥区に対するN追肥区(4kgN/10a)の収量指数(土壌ごとの平均値)は、多腐植質厚層黒ボク土:116、典型淡色黒ボク土:109、細粒質台地黄色土:105、細粒質普通灰色低地土:99である。N追肥により子実収量は増加することが多いが、土壌のN肥沃度との関連は認めにくい。
3.
出穂期のN追肥によりタンパクは明らかに上昇する(図1)。追肥N 1kg/10a当たりの上昇量(土壌ごとの平均値)は、細粒質台地黄色土:0.37%、多腐植質厚層黒ボク土:0.19 %、細粒質普通灰色低地土:0.12 %、典型淡色黒ボク土:0.07 %である。タンパクの上昇量は、見かけ上、N肥沃度の低い土壌で大きく、高い土壌で小さい傾向にある。
4.
一方、供試土壌全体でみると、追肥N 1kg/10a当たりのタンパク上昇量は出穂期の地上部N含有量と有意な負の相関を示す(図2)。したがって、出穂期のN追肥によるタンパク上昇効果の土壌間差は、出穂期の小麦地上部N含有量に影響されていると言える。
成果の活用面・留意点 1.
出穂期のN追肥による子実タンパク上昇効果判定の目安として活用する。
図表1 216771-1.gif
図表2 216771-2.gif
図表3 216771-3.gif
カテゴリ 肥料 小麦 新品種

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