タイトル | 水稲条間における亀裂形状パターン形成メカニズム |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 1996~1999 |
研究担当者 |
吉田修一郎 足立一日出 |
発行年度 | 2001 |
要約 | 粘土質土壌における水稲条間の直線状亀裂の発生位置は,蒸散により形成される特異なサクション分布に起因する引張有効応力場により決定される.条間を拡大すると,引張有効応力場が2極化し,条間の亀裂は複線化する. |
キーワード | 亀裂,条間隔,蒸散,収縮挙動,弾性圧密モデル,引張有効応力 |
背景・ねらい | 北陸地域の粘土質水田を畑に転換する場合,転換直後の排水性が問題となることが多い.その解決策の一つとして,畑転換に向けた水稲作付け期間中からの計画的な排水対策の実施が挙げられる.粘土質水田では,乾燥により生じる亀裂が,地下排水に重要な役割を持っており,その積極的な利用が望まれる.水稲の条間隔を拡大し,蒸散が行われている時期に圃場を乾燥させることにより,直線的な幅の広い亀裂が条間に容易に形成されることが,既に実証されている.本成果は,水稲条間に直線状の亀裂が発生するメカニズムをさらに理論的に解明することにより,亀裂制御の可能性を物理的な観点から示すことを狙った. |
成果の内容・特徴 | 1. 水稲条間における水田土壌の収縮挙動は,2次元弾性圧密モデルにより再現できる. 2. 水稲の蒸散による2方向からの水分の減少により,条間には水平方向の有効応力が引張となる領域が形成される.この引張有効応力は,収縮に伴う引張全応力と,乾燥に伴う土壌水のサクションの増加とのバランスから,条間の特定の領域にのみ発生する.亀裂はこの領域に形成される(図1,図2). 3. 引張有効応力の分布は,条間隔,代かき深,蒸散速度の違いによって,中央に集中する場合と2極化する場合がある.条間隔をある範囲以上に拡大すると,引張有効応力分布が2極化する(図3). 4. 条間隔の拡大により,条間の亀裂は2本となる(図4).この現象は,引張有効応力の分布が条間隔の拡大により2極化することに対応している. |
成果の活用面・留意点 | 1. 条間隔や株間の拡大による大亀裂の誘起効果を検討するための重要な知見である.水稲の条間隔は,30cmを基準とし,その拡大による影響を想定している.条間隔の拡大による亀裂幅の増大効果には,一定の限度があることを理論的に裏付けている. 2. 本モデルは,圃場における挙動を定量的に予測することを目的とはしていない. 3. 数値モデルの計算は,有限要素法により行った. 4. 収縮挙動の解析における圧密モデルの適用は,土壌が水で飽和されていると見なすことができる範囲で可能である.多量の水分のもとで練り返しを受けた粘質土壌の亀裂発生までの収縮挙動は,この条件を満たしている. |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 乾燥 水田 水稲 排水性 |