タイトル | 農業情報提供の問題点と情報購入の可能性 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
土田志郎 |
発行年度 | 2001 |
要約 | アンケート調査結果(325サンプル)によると、農業情報提供の最大の問題点は情報量が少ないことで、特に農地情報、雇用情報、技術情報、消費情報、事例情報、海外情報でその点を指摘する経営が多い。また、農業情報を有償購入するようになった場合、気象情報、病虫害情報、技術情報、市場情報、事例情報で購入希望経営の割合が高くなっている。 |
キーワード | 農業情報、情報提供、情報購入、アンケート調査 |
背景・ねらい | 専業経営においては、経営の外部から得られる農業情報の収集・分析が経営の維持・発展を左右するようになってきている。そこで、専業経営への就農者が多く、全国各地で多様な営農を実践している農林水産省農業者大学校の卒業生(27~56歳、平均40.6歳)を対象にアンケート調査を実施し、専業経営がどのような外部農業情報を必要とし、現在の情報提供のどこに問題があるのか、これらの点に関して各種農業情報ごとに明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 農業経営の外部から得られる農業情報を、(1)農地情報、(2)雇用情報、(3)資材機械情報、(4)気象情報、(5)病虫害情報、(6)生育情報、(7)技術情報、(8)市場情報、(9)消費情報、(10)農政情報、(11)事例情報、(12)海外情報に大別し、それぞれについて農業者が感じている情報収集上の問題点及び有償購入の可能性を整理すると次のようになる(表1)。 1. 分析対象経営全体でみると、入手情報の満足度が比較的高いのは、情報提供ルートが比較的整備されている資材機械情報、気象情報、病虫害情報、生育情報、市場情報の5つで、35~48%の経営が「ほぼ満足している」と回答している。 2. 一方、入手情報の最大の問題点は「情報量が少ない」ことで、12の農業情報の全てで不満点の第1位となっている。中でも農地情報、雇用情報、技術情報、消費情報、事例情報、海外情報については、30%前後の経営が「情報量が少ない」と回答している。また、資材機械情報、病虫害情報、生育情報、市場情報では、10~17%の経営が「情報の提供が迅速でない」との不満を持っている。さらに消費情報、農政情報、海外情報では、「情報が分かりにくい」と回答した経営が11~20%ある。 3. 農業情報を有償で購入する場合の購入の意向については、分析対象経営全体では、気象情報、病虫害情報、技術情報、市場情報、事例情報の5つで、「購入する」と回答した経営が多くなっている。また、「購入する」と回答した経営が年間を通じた情報提供に対して支払可とする年額(回答経営の平均値)は、農地情報、雇用情報、気象情報、生育情報、技術情報、市場情報、事例情報、海外情報でやや高い傾向がみられる。 4. 農業情報の有償購入の意向は、営農類型の違いによっても差異がみられる。例えば、稲作経営では農地情報の購入希望経営割合が32%で、施設園芸経営や大家畜経営よりも15ポイント程度高く、年間の平均支払許容額も3千円近くとなっている。 1. 行政、普及指導機関、農業団体等が、農業情報を提供していく際の参考情報となる。 2. 農業情報の提供に対する農業者の要望、購入希望情報、支払許容額等は、社会・経済環境の変動、農業情報提供システムの進展の程度、当該経営の発展段階等によっても変化する可能性があるので、本成果の活用に当たってはこれらの点に留意すること。また表1の営農類型別・農業情報別の支払許容額については回答サンプル数に注意して利用すること。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 行政、普及指導機関、農業団体等が、農業情報を提供していく際の参考情報となる。 2. 農業情報の提供に対する農業者の要望、購入希望情報、支払許容額等は、社会・経済環境の変動、農業情報提供システムの進展の程度、当該経営の発展段階等によっても変化する可能性があるので、本成果の活用に当たってはこれらの点に留意すること。また表1の営農類型別・農業情報別の支払許容額については回答サンプル数に注意して利用すること。 |
図表1 | |
カテゴリ | 病害虫 経営管理 施設園芸 |