タイトル | 苗立密度と葉色による直播水稲の圃場内出穂較差予測法 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
松村修 山口弘道 千葉雅大 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 直播水稲の圃場内で発生する生育差の中で、出穂期の較差は苗立密度や出穂約1ヵ月前の葉色と密接な関連があり、「コシヒカリ」「どんとこい」ではこれらの生育情報を用いることにより予測することができる。 |
キーワード | 予測、出穂、生育差、直播水稲、コシヒカリ、どんとこい |
背景・ねらい | 水稲の直播栽培では、播種・苗立密度等に起因する圃場内での生育較差が問題となっている。中でも出穂期の較差は成熟のバラツキを招き、米の外観品質を低下させるので、局所管理等を実施するためにも予測法の開発が求められている。本成果では苗立密度や生育期の葉色(SPAD値)から出穂日の圃場内較差を予測する方法を開発した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 直播栽培した「コシヒカリ」と「どんとこい」を用いて、2000年~2001年の2か年に苗立密度を変えて人為的な生育差を作出し、苗立密度並びに出穂前約1ヵ月のSPAD値と出穂期との関係を得た。直播水稲の出穂期はこれらの生育情報と密接な相関を有しており(図1、図2)、各年次の最早出穂日を0とする相対出穂日と苗立密度(本/m2)並びにSPAD値との関係から、表1に示した相対出穂日の予測式が得られる。 2. これらの式を用いることにより、圃場内に生じる出穂日の較差を予測することができる。すなわち、圃場内の異なる箇所の苗立密度やSPAD値を代入して得られる相対出穂日の差し引きが、予測される出穂較差の日数となる。 3. 相対出穂日の予測誤差は、葉色による予測で±1日の範囲内にほぼ収まっており、高い精度で予測できる(図3)。苗立密度による予測では予測精度は劣るものの、±2日の範囲内である(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 直播水稲の圃場内出穂較差の予測法として用いる。圃場の苗立数マップや葉色マップとも併用でき、選択収穫等の局所管理に利用できる。苗立密度による予測は、苗立期など生育の極早い段階から用いることが可能である。 2. 予測式は5月上中旬播種の表面散播方式の湛水直播(潤土直播)により得られたものであり、他の播種法、品種、大きく異なる作期には直接適用できない。 3. 本成果は苗立ちの遅速による最大葉齢差が1.5葉の直播水稲で得られた結果である。 4. SPAD値は完全に抽出・展開した葉の中で、上位から2番目の葉身の中央部を測定する。出穂期は50%出穂である(有効分げつの半数以上が出穂した株が調査区の半数以上に至った日)。予測式の検証は2002年に実施した。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 直播栽培 水稲 播種 品種 |