タイトル | 隔離温室内で行う組換えイネのいもち病抵抗性検定法 |
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担当機関 | 稲育種素材研究室 |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
中島敏彦 森浩一 野口雅子 青木秀之 川田元滋 矢頭 治 福本文良 黒田 秧 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 隔離温室で行う組換えイネのいもち病抵抗性検定では、特殊な施設環境と組換えイネ特有の反応を考慮した方法が必要である。いもち病抵抗性検定は、接種15~21日後に行い、発病指数に基づく調査に加え病斑型も調査し、原品種の反応と比較して抵抗性を評価、判定する。 |
キーワード | 組換えイネ、隔離温室、いもち病、抵抗性検定 |
背景・ねらい | 病害抵抗性遺伝子を導入した組換え植物の作出は世界的にすすめられており、いもち病抵抗性組換えイネの研究も進展している。しかし、これまでいもち病抵抗性が圃場等で実証された実用的な組換えイネ系統の作出に関する論文・報告はない。隔離温室という特殊な環境で養成した組換えイネ系統を材料としたいもち病抵抗性検定では、組換えイネ系統の抵抗性反応が一般の抵抗性品種の反応とはやや異なり、従来の検定方法では抵抗性の程度を正確に評価できない事例が出てきている。そこで、隔離温室内で養成した組換えイネ系統のいもち病抵抗性を的確に評価するための検定法を開発し、実用系統の選抜・育成に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 図1に示すように、「どんとこい」(原品種)に、ナシ由来酸性型タウマチン様タンパク質遺伝子(a)、イネ由来リボソーム不活性化タンパク質遺伝子(b)およびアブラナ科由来のディフェンシン遺伝子(c)をそれぞれ導入した組換えイネ系統のいもち病菌に対する反応は、(ア)原品種よりも発病程度が低く高度な抵抗性、(イ)原品種の発病程度と同じかあるいは発病程度が高く感受性、(ウ)接種6~12日後では抵抗性であるが、その後病斑の進展が進み、接種15~21日後の判定では原品種と同等かそれ以上の感受性、という3タイプに分かれる。 2. 形質転換当代の1個体からの自殖次世代でも、前述の3つの抵抗性反応を示す個体が分離する場合がある。 3. 従来のいもち病抵抗性検定法により、組換えイネの抵抗性評価を接種7~10日後に行うと、前述(ウ)反応の個体・系統の抵抗性は正確に把握できない。 4. 隔離温室内で組換えイネ個体・系統のいもち病抵抗性を検定するには、4.5~5.5葉期の幼苗を供試し、いもち病菌の胞子懸濁液を8×105個/mlに調整して、噴霧接種する。接種15~21日後に、IRRIおよび浅賀の調査基準を改変し罹病性病斑面積に加えて病斑型も考慮した葉いもち発病指数(表1)を用いた調査基準によって病徴を調査し、原品種の反応と比較していもち病抵抗性程度の判定を行う。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 突然変異や生育不良等によって原品種と大きく異なる形態的特徴をもつ組換え体は、病害抵抗性の判定が不正確となる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | あぶらな いもち病 馬 抵抗性 抵抗性検定 抵抗性品種 病害抵抗性 品種 |