タイトル | 茨城県の早期・早植栽培におけるロングマット水耕苗移植栽培の作業体系 |
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担当機関 | 茨城農総セ |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
小貫和裕 飯島智浩 折本美緒 加藤俊一 茅根敦夫 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ロングマット水耕苗移植栽培での作業体系を確立した。育苗の作業時間は、ha当8.5時間と慣行の約27%と省力性が高く、苗の重さは慣行苗の約5分の1で労働低減効果も高い。移植は、乗用田植機に苗ホルダーを装着し、1人作業で30aの圃場を無補給で移植できる。作期及び収量は、慣行と同等である。 |
キーワード | 茨城県、水稲、早期栽培、ロングマット、水耕苗、移植、作業体系 |
背景・ねらい | 米の価格低迷が続く中で、所得を維持確保するためには生産性の向上と高品質生産を図る必要がある。このため、大区画圃場への対応と大規模稲作経営の省力化及びコスト低減に資するためロングマット水耕苗移植による栽培技術を確立する必要がある。 |
成果の内容・特徴 | 1. 育苗は、ロングマット水耕育苗施設を用いて行う(写真1)。播種床に敷設した不織布の上に催芽籾を均一に播種し、水を循環させる(この段階では施肥は行わない)。温度管理は、苗の生育が遅延しないよう、昼間30℃以下、夜間20℃を目標に行う。 2. 施肥は、草丈が2~3cmに達した播種後5日と10日後に液肥専用肥料を用い、養液濃度がEC1.5mS/cmになるように行う。養液タンクの水位は蒸散などにより低下するので加水して、一定のレベルに保つようにする。 3. 苗の巻取は、草丈が8~12cm(播種後約14日)に達したときで、移植の前日か当日行う。作業手順は、苗の損傷を防ぐため長めの棒でベッドからはみ出した苗を苗の内側に押して形を整え、ローラー(直径20cm,幅27.5cm,重さ10kg)で苗を上流から鎮圧する。巻取は、巻取補助装置(写真2)を用い、苗の先端方向(下流)から、巻取を行う。苗カバーをして、水切りを行う。巻き取った苗の貯留は、乾燥をさけるためビニールシートなどをかけて、日が当たらない場所に保管する。 4. 育苗に要する時間は、ha当8.5時間と慣行(土付苗)31.3時間の約27%と省力性が高く、苗の重さは慣行苗の約5分の1で労働低減効果も高い(表1、写真3)。 5. 移植は苗ホルダーを装着した乗用田植機で行う(写真4)。代の固さは、通常の田植えと同じかやや柔らかめで、1mの高さからゴルフボールを落としたときに丁度ボールが埋没する固さを目安とする。コシヒカリでは、1株当たり植付本数6~7本、株間16cm(21.2株/m2)を目標に移植する。6条植では、30aの圃場を無補給で移植できる。 6. コシヒカリの移植適期は、移植時期別の収量分布から、慣行栽培と同じ4月第5半旬~5月第6半旬までと推察される。収量は、慣行栽培と同等である(図1)。 7. 本技術は、慣行移植栽培に代替可能な省力技術として県下全域に適用可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ロングマット水耕育苗施設は、間口7.2m以上のビニールハウスに育苗プラントを設置したものを用いる。育苗プラントは、市販されているが自作も可能である。 2. 巻取補助装置は試作機であるが、近日市販される見込みである。 3. 苗ホルダーは、田植機に巻取ったロングマット苗を固定するもので、受注生産で対応しているメーカーもあるが、自作して取付けることも可能である。 4. 植付深さは、浮苗を防止するため、慣行よりやや深い3~4cmを目標に移植する。 5. 水管理は、苗が活着するまで走水程度の灌水か浅水管理で浮苗を防止し、苗の活着を確認後、通常の入水を行う。 6. 本技術の詳細については「水稲ロングマット水耕苗の育苗・移植マニュアル」として公表する予定である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 育苗 温度管理 乾燥 経営管理 栽培技術 省力化 水稲 施肥 低コスト 播種 水管理 |