生分解性プラスチックマルチの幼木茶樹への利用

タイトル 生分解性プラスチックマルチの幼木茶樹への利用
担当機関 埼玉県農林総合研究センター
研究期間 2000~2002
研究担当者 内野博司
発行年度 2002
要約 3種類の分解期間の長い生分解プラスチックフィルムは茶樹の生育期である春から秋まではフィルムの原型が保たれ、5ヶ月から1年程度有効期間があり、いずれも幼木茶樹のマルチ資材として実用性がある。
背景・ねらい 生分解性プラスチックは、廃棄物の減量化などを目的として開発され、使用後に自然界に存在する微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される。主に野菜などの生育期間の短い草本性作物でマルチ資材として使用されつつあるが、近年、分解期間のより長い資材が開発されているので、永年生作物である茶樹の幼木での実用性とその特性明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
供試した生分解性プラスチックマルチフィルムの材料は、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン及びポリエステルカーボネイトの3種類で、比較資材はポリエチレンマルチ、敷きわら、無処理(裸地)である(表1)。各プラスチック資材とも135cm幅のものを、のこぎりで1/4の34cmに切断し、定植畦の両側に敷き、それぞれ、ところどころ土を乗せ固定する。
2.
マルチフィルムの亀裂少(亀裂の総延長が3m以下/1平方m )までを使用可能期間とすると、ポリ乳酸では約9ヶ月、ポリエステルカーボネイトでは9ヶ月ないし1年程度である。ポリカプロラクトンは5ヶ月から9ヶ月で、年次による差が大きい(表2)。このことはポリカプロラクトンが土壌の微生物によって急速に分解される性質があるため、その年の降雨等の気象の影響によるものである。
3.
茶樹の生育はいずれの生分解性マルチでも無処理区(裸地)更には慣行の敷きわら区よりも良好である。いずれのものもポリエチレンに近い効果はある(表3)。野菜などの多くの農作物の生育についての生分解性マルチと既存のポリエチレンマルチとの比較試験では、総合的に判断して、両者に大差のないことが示唆され、茶樹についてもほぼ同様と考えられる。
4.
3資材の中でポリカプロラクトンは春から越冬時までの短期間の使用に適している。また、ポリ乳酸は春から越冬終了時までの中期間の使用に適している。ポリエステルカーボネイトは1年程度までの長期間使用に適している。
成果の活用面・留意点 1.
ポリカプロラクトンは土壌微生物による分解が早いので、土を多くかけない。
2.
各資材とも、分解が進むと飛散しやすいので埋没等で対処する。
3.
フィルムの幅は、30cm~50cm程度が使いやすいので規格幅のフィルムの切断が必要であるが、切断時には摩擦熱で融合しやすいので水などで冷却しながら行う。
4.
生分解性マルチの価格は、10a当たり135cm幅、200m巻きのもの1.3本分で、7000円から8600円であるが、生産体制が整うに従って更に安くなる。。
図表1 216889-1.gif
図表2 216889-2.gif
図表3 216889-3.gif
カテゴリ 栽培技術

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