タイトル | 早生で炭疽病に強い冷涼地向け緑茶用品種「さいのみどり」 |
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担当機関 | 埼玉県農林総合研究センター |
研究期間 | 1966~2002 |
研究担当者 |
内野博司 田中江里 石川 巌 酒井 崇 嶋崎 豊 京極英雄 岡野信雄 中島健太 本多勇介 淵之上康元 北田嘉一 米丸 忠 田中万吉 船越昭治 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ‘さいのみどり’は関東等の冷涼茶産地において‘やぶきた’より摘採期が約2日早い早生の緑茶用品種候補である。従来の主要な早生品種である‘さやまかおり’よりも炭疽病に強く、また、クワシロカイガラムシに対しては‘やぶきた’よりも強い。 |
キーワード | 緑茶、早生、炭疽病抵抗性、クワシロカイガラムシ |
背景・ねらい | 関東地方を中心とした冷涼茶産地では、主要な早生品種として‘さやまかおり’が定着しており、摘採期の分散や早出しに役立ち、また、難防除害虫であるクワシロカイガラムシに対して、緑茶品種として数少ない抵抗性の品種でもある。しかし、炭疽病に弱い欠点がある。このようなことから‘さやまかおり’に替わる早生品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1.さいのみどりは、埼玉県農林総合研究センター・特産支所において、指定試験事業により‘さやまかおり’から採種した自然交配実生群より選抜された栄養系であり、早生で、品質が良く、耐寒性に優れ、多収で病害虫に強い新品種候補である(表1)。2.挿し木発根性及び本圃での活着は良好である。樹姿は中間型でよく分枝し、株張りは‘やぶきた’よりやや大きく、成葉は披針型で‘やぶきた’よりやや小さい。摘採期における新芽の芽立ち及び生育は良好である(表1、2)。3.一番茶の摘採期は‘やぶきた’より約2日早く、‘さやまかおり’と同程度で冷涼地では早生に分類される。(表1)。4.耐寒性は赤枯れ抵抗性は「やや強」、青枯れ抵抗性は「やや弱」、裂傷型凍害抵抗性は「やや強」でいずれも‘やぶきた’並である(表1)。5.炭疽病には‘やぶきた’及び‘さやまかおり’より抵抗性の「やや強」で、輪斑病には‘やぶきた’より抵抗性の‘さやまかおり’並の「中」である。クワシロカイガラムシに対しても‘やぶきた’より抵抗性のある「やや強」であり、緑茶品種の中では強い部類に属する(表1)。6.収量は一番茶、二番茶とも‘やぶきた’よりやや多い。製品の形状は細くよれるが色沢はやや黒みを帯びやすい。内質はほぼ‘やぶきた’並に良好である(表2、3、4)。7.関東等の冷涼茶産地及び気象の類似する山間茶産地に適し、‘さやまかおり’では炭疽病の被害が問題となる場所でも栽培が可能である。また、クワシロカイガラムシにやや抵抗性であり、被害のある地域では、被害が軽減できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.早生種であるので、晩霜害のおそれが大きい場所での栽培は避ける。2.生育及び品質が地域により変動するので、栽培予定地の条件に類似した試験地の成績を参考とする。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 挿し木 新品種 耐寒性 炭疽病 茶 抵抗性 凍害 品種 防除 |