簡易ネットハウスを利用した野菜の無農薬・減農薬栽培技術

タイトル 簡易ネットハウスを利用した野菜の無農薬・減農薬栽培技術
担当機関 東京農試
研究期間 2000~2002
研究担当者 小寺孝治
沼尻勝人
田邊範子
澁澤英城
発行年度 2002
要約 簡易ネットハウスは、高温期に難しいとされるアブラナ科野菜の無農薬栽培や減農薬栽培の生産安定化に有効である。冬季はネットハウスの上から外張りフィルムを被覆し、マルチを併用することで葉根菜類の生産安定化が図れる。
キーワード 無農薬栽培、減農薬栽培、防虫ネット、簡易ハウス、葉根菜類
背景・ねらい 都内産野菜は、生産者と消費者とが顔の見える関係で鮮度の高い野菜を都民の食卓に供給することができる。このメリットを生かし、より安全・安心・美味しいといったこだわり野菜を、環境、生産物、人間にも優しく経済的に生産し、PR販売していくことが都市農業の戦略と考える。そこで、これらの実現を図るうえで、無農薬・減農薬栽培のための簡易ネットハウスを考案し、数種作型での実用性を検討する。
成果の内容・特徴 1.
ネットハウスは、19mmパイプを使用し、間口3.1m、高さ2.1mのハウスフレームの上からネットを全面被覆する。ネットは両サイドのビニペットで固定するとともに、土中に埋め込む。妻面は余分なネットをたたみパッカーで固定する。なお、冬季はネットの上から外張りフィルムを被覆し、マイカー線で固定する。作付け前や収穫時には妻面を捲り上げて中に入る。播種や定植後は適宜灌水を行うことができる(図1)。資材費は骨材、ネット、外張りフィルム、潅水チューブを含め、坪当たり約7000円である。
2.
夏まきキャベツ栽培では、定植後の薬剤散布回数は1~2回で7割から9割の上物が得られ、無被覆区の10回散布に比べても同等以上となる(表1、1年目データ略)。収穫期を過ぎて在圃させた場合、通風の劣るネット区では病害が発生し、上物率を低下させることがあるので、適期収穫に努める(表1)。
3.
夏まきコマツナ、ホウレンソウの無農薬栽培では、病害虫の防除効果が高く、無被覆では収穫皆無となるが、ネット区では安定した収量を得ることができる(データ略)。
4.
ネットハウス下の降雨量は、ネットの目合いが狭いほど少なくなる傾向がみられ、中央部ほど多くなる(図2)。しかし、降雨ムラによる生育への影響はみられない。
5.
冬まき栽培では、保温と降雪対策としてネットハウスの上に外張りフィルムを被覆する。全般にマルチを行うと生育や収量が大幅に向上する。ただし、マルチは収穫を早めるため、透光率の低いネット区では生育、収量が若干低下する(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
ネット資材は様々なものが市販されているが、できる限りネットの目ズレがしないもの、また、耐候性、透光性、通気性の高い資材を選定する。アブラナ科野菜では目合い約0.8mmを基準とするが、一般的には対象作物の主要害虫に応じた目合いのネットを選定する。
2.
施肥は原則的に追肥を省くため、有機質系肥料や緩効性肥料を中心に設計する。
3.
病害虫の侵入を防ぐため、基本的には播種や定植後から収穫時までネットハウス内に入らないで栽培する。ただし、害虫が発見された際には、捕殺を行う。
4.
特に土中に潜むヨトウムシ類への対応には、日頃からネットハウス内および周辺の雑草防除に務める。
図表1 216899-1.gif
図表2 216899-2.gif
図表3 216899-3.gif
図表4 216899-4.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 あぶらな 害虫 簡易ハウス キャベツ こまつな 栽培技術 雑草 施肥 農薬 播種 防除 ほうれんそう 薬剤

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