タイトル | 乳酸菌スターター利用による漬け物製造技術の確立 |
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担当機関 | 富山食研 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
池川志穂 横井健二 竹島文雄 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 市販の乳酸菌スターターの中から、キャベツ、キクイモのそれぞれに適したスターターを選抜して用いることにより、スターターの発酵作用を生かした、風味豊かな発酵食品が製造できる。 |
キーワード | 乳酸菌、スターター、発酵食品 |
背景・ねらい | 近年、消費者の健康への関心が高まっており、天然の素材を用いた食品、健康維持や増進機能を持つ食品が好まれている。なかでも乳酸菌を用いた発酵食品は、整腸作用などの健康性や有機酸、抗菌物質産生による保存性の向上など乳酸菌の持つの機能が注目されている。そこで、キャベツ及びキクイモを原料に、乳酸菌スターターを利用した健康性豊かな発酵食品の製造技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 市販スターターの増殖特性。 9種類の市販乳酸菌スターターには、低温での増殖が良好なもの、酸耐性の高いもの、高塩濃度に耐えるものなど性質の差異があるので、発酵条件に合わせてスターターを選択する。 2. 乳酸菌スターターによるキャベツの発酵。 食塩2.5%の塩水に、スターターを107/ml程度の濃度で懸濁し、刻みキャベツと等量混ぜて重石をし、20℃で約6日間漬け込むことにより、発酵風味の備わったキャベツ漬け物が得られる。スターターはL. plantarum LPT、L. mesenteroides LM057(以下LM)が適する。特にLMでは、自然発酵のものと比べpHの低下と酸度の上昇が速やかに起こり、安定した発酵が可能である(図1)。また、スターターを添加したものでは、色が白く仕上がり褐変が抑えられる。 3. 乳酸菌スターターによるキクイモの発酵 食塩3%、ブドウ糖2%、みりん1%を含む調味液に、スターターを107/ml程度の濃度で懸濁し、薄切りしたキクイモと等量混ぜて重石をし、20℃で約6日間漬け込むことにより、発酵風味の備わったキクイモ漬け物が得られる。スターターは、LMが適当である。LMスターターの使用により、自然発酵と比べpHの低下と酸度の上昇が速やかに起こり、発酵初期の酵母の増殖を抑えて安定した発酵が可能である(図2)。 4. 発酵中のスターターの増殖解析 発酵中の漬け液を、標準寒天培地に適宜混釈して形成されたコロニーについて、ARDRA (Amplified Ribosomal DNA Restriction Analysis) 解析に供することにより、スターターの増殖を調べることが出来る(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本技術は他の野菜にも適用可能であるが、対象とする野菜およびスターターに応じて調味液組成等の諸条件を検討する必要がある。 2. スターターの増殖の指標としては、pHや滴定酸度では不十分なことがあり、ARDRA法などによる解析が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | ICT きくいも キャベツ |