タイトル | 鉢花生産における鉢培養土の水分値で作動する底面給水制御技術 |
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担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 1998~2001 |
研究担当者 |
古井正司 須田晃 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 鉢花生産において、鉢内培養土の土壌水分量によって作動するエブアンドフロー底面給水装置を開発し、品質の均一な鉢花の生産を行う。 |
背景・ねらい | 従来のエブアンドフロー底面給水装置はタイマーで制御されているので、晴天時に鉢花の活発な蒸散作用により鉢培養土の水分量が大幅に減少しても給水時刻にならなければ乾燥状態が続く。また曇雨天時には蒸散が進まない中で給水されることもあり水分過剰となる。このような鉢培養土の水分量の多い少ないが鉢花の生育に影響し品質のばらつきを生じるので、鉢培養土の水分量をコントロールし、均一な品質の鉢花生産を行う装置を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. TDR土壌水分計による水分制御装置は鉢培養土の水分量を計測し、水分量が減少したらエブアンドフロー方式で底面給水を行う(図1)。 2. 通常のタイマーを用いてエブアンドフロー方式で底面給水を行うと、給水開始時の鉢培養土の水分量は25.5%から35.0%と大きなばらつきが認められる(図2)。 3. TDR土壌水分計による水分制御装置を用いてエブアンドフロー方式で底面給水を行うと、給水開始時の鉢培養土の水分量は制御用に設定された値を示し、タイマー制御で給水した場合に見られる給水開始点の水分量のばらつきが無くなるので、均一な品質の鉢花生産が行える(図3)。 4. 給水開始水分量として25%で給水する試験区と39%で給水する対象区を設けて、栽培期間中の培養土の水分量の変化を計測すると、給水開始水分量として設定した値に水分量が減少すると給水が開始される(図3)。 5. シクラメンの品質は鉢とのバランスにより評価され、ほど良い大きさが求められる。水分制御装置を用いて給液開始点の違いがシクラメンの生育におよぼす影響を検討すると、給水開始水分量25%で給水した鉢に比べ給水開始水分量39%で給水した鉢は、いずれの評価項目とも大きく、生育過剰気味になる(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 均一な品質の鉢花を生産するためには栽培条件を整える必要がある。特に鉢に充填する培養土の量の違いが保水量の違いとなるので、培養土の充填に留意が必要である。 2. 給水開始水分量は鉢花の種類によって違うので、鉢花生産農家の長年の経験から割り出された給水開始の鉢の状態から設定するのが望ましい。 3. 本試験は市販の機器によって行ったが、エブアンドフロー底面給水装置の制御器として製品化が待たれる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 栽培条件 シクラメン |