タイトル | 黒ボク土におけるニホンナシ「幸水」の高収量確保に必要な側枝密度 |
---|---|
担当機関 | 茨城園研 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
多比良和生 佐久間文雄 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 黒ボク土ではニホンナシ「幸水」の側枝密度を高めると収量及び推定販売額は増加するが、せん定誘引に労力を要する。より少ない労力で3.5kg/m2の高収量を確保できる側枝密度は300cm/m2程度である。 |
キーワード | ニホンナシ、幸水、側枝密度、収量、黒ボク土 |
背景・ねらい | 茨城県のニホンナシ生産地帯では樹齢の経過とともに収量の維持が困難となってきており、近年の「幸水」における平均収量は目標収量である3t/10aを大きく下回る約 2.2t/10aとなっている。一方、毎年目標収量以上の高い収量を維持している園地も存在する。今回は、整枝・せん定方法等の栽培管理の中で特に、側枝密度(側枝長/樹冠面積)の違いが収量、果実品質に及ぼす影響について検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 美野里町(淡色黒ボク土)の幸水22年生(2002年)10樹を供試し、側枝密度が平均403cm/m2の高密度区4樹、平均288cm/m2の中密度区3樹、平均216cm/m2の低密度区3樹の3区を設置して収量及び果実品質に及ぼす影響を検討した。処理は同一樹に対して1998~2002年に5年連続して行った。摘果は満開後20日頃に1果そう1果、満開後30日頃に3果そう1果にした。さらに、満開後50日頃と満開後90日頃にS果以下になると予測される果実を摘果した。側枝密度の違いにより1m2当たりの着果数は異なったが、側枝1m当たりの着果数は約3果で処理区間に有意差は認められなかった(データ省略)。 2. 供試樹の1m2当たりの収量は2.1~4.5kgで、側枝密度(側枝長/m2)が高い樹ほど収量が多かった(図1)。 3. 供試樹の一果重は 343~412gで、側枝密度が高い樹ほど一果重が小さかった(図2)。 4. 供試樹の1m2当たりの推定販売額は 723~1494円で、側枝密度が高い樹ほど推定販売額が多かった(図3)。 5. 供試樹の糖度は11.1~11.5%で、一定の関係はみられなかった(データ省略)。 6. 園地利用率が85%の場合、10a当たりのせん定誘引時間は、側枝密度 200cm/m2で約87時間、側枝密度300cm/m2で約113時間、側枝密度400cm/m2で約140時間であった(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 予備枝は樹冠面積1m2当たり3本確保し、充実した花芽の着生した予備枝を利用して側枝間隔は30~35cmを目標に側枝密度を高めていく。側枝と予備枝の比率は1対1を目標とする。 2. 側枝密度を高め、高収量を上げるためには、骨格枝や予備枝及び側枝先端部以外から新梢が発生しないようにする。1側枝当たり5果程度着果させると不要な新梢の発生は少なくなる。不要な位置から発生した新梢は随時摘心処理し、棚上を暗くしない。 3. 側枝密度を高めると1m2当たりの着果数が多くなるので、摘らいや摘果などの初期管理を徹底する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 栽培技術 |