天敵への影響を考慮したブロッコリー害虫の薬剤防除法

タイトル 天敵への影響を考慮したブロッコリー害虫の薬剤防除法
担当機関 埼玉農総研
研究期間 1997~2002
研究担当者 根本 久
発行年度 2002
要約 ブロッコリー畑に生息するクモ等の捕食性天敵類に影響が少ない選択性殺虫剤を使用することで、これらの天敵を温存し、コナガ等の発生を低く抑えることができる。
キーワード ブロッコリー、コナガ、クモ、捕食性天敵、選択性殺虫剤
背景・ねらい 埼玉県では、安全で安心な農産物に対する消費者ニーズに応えて、減農薬栽培を実現するために、露地野菜地域に適応できる選択性殺虫剤やフェロモン等の利用技術の開発を進めている。特産物のブロッコリーの減農薬栽培を実現するための薬剤使用技術を確立する。
成果の内容・特徴 1.
コナガに産卵させたチンゲンサイを、6月~9月にブロッコリー圃場に設置し、コナガの卵から蛹までの死亡要因を調査したところ、捕食による死亡が多かった(表1)。
2.
調査株のコナガにはかからないように、非選択性及び選択性殺虫剤を散布して個体数の推移を見たところ、非選択性殺虫剤では高く推移したのに対し、選択性殺虫剤では無処理区と同様に低く推移した(図1)。このことから、選択性殺虫剤処理区と無処理区は同程度の死亡率で、非選択性殺虫剤散布区のそれと比較して高い。
3.
1~2の結果から、6月から9月にかけてのコナガの主な死亡要因は捕食者と推定される。
4.
ブロッコリー畑に生息する捕食者で、ペルメトリン乳剤により悪影響を受けるものは、ウズキコモリグモやニセアカムネグモ等の捕食性天敵であると考えられる。
5.
捕食性天敵類への悪影響が少ない薬剤を用いた選択性殺虫剤の散布体系では、非選択性殺虫剤中心の散布体系に比べて、コナガのリサージェンスを起こさずに、モンシロチョウなどの害虫を低密度に抑えられる(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
捕食性天敵類に悪影響がない薬剤には、BT剤、クロルフルアズロン乳剤、アセタミプリド水溶剤、インドキサカルブMP水和剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤、クロルフェナピル水和剤、テフルベンズロン乳剤、カルタップ水溶剤があり、ブロッコリーの減農薬栽培に適用できる。
2.
この手法は、特別栽培農産物における減農薬技術として埼玉県北部で採用されており、選択性殺虫剤を利用して土着天敵を温存し、コナガなどの難防除害虫に対する薬剤散布回数を減らすことができる。
3
普及機関によるこの手法の展示圃場ではハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウやオオタバコガ等の発生も低く抑えられている。
図表1 216954-1.gif
図表2 216954-2.gif
図表3 216954-3.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 チンゲンサイ 土着天敵 農薬 フェロモン ブロッコリー 防除 薬剤

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