タイトル | 蒸切干用優良カロテンかんしょ「ハマコマチ(九州122号)」の中遠地域への普及 |
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担当機関 | 静岡農試 |
研究期間 | 1996~2002 |
研究担当者 |
大石達明 石上清 堀田柏 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 収量及び蒸切干の外観品質及び切干作業性及び食味に優れ、カロテンを多く含む加工用かんしょ「九州122号」を蒸切干用の優良品種として地域に普及し産地化を図る。 |
キーワード | かんしょ、カロテン、良食味、蒸切干 |
背景・ねらい | 健康志向の高まりからカロテンを含有するかんしょ品種に対する要望が強い。本県では磐田市周辺で「しんや」が栽培加工されているが、他地域では栽培できないという地域性がある。また、蒸切干主要品種の「泉13号」は近年、収量性に対する問題が発生しており、これに代わる品種が要望されている。 「九州122号」は7カ年の試験結果より、収量性が高く、蒸切干の作業性・食味が優れていることが明らかとなった。今後本県の蒸切干用優良品種として普及させる予定である。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「九州122号」の形状は短紡錘形で「しんや」、「泉13号」より大である。皮色は赤橙で、生いもの肉色は鮮やかな橙色を呈する。また、条溝、裂開はなく生理障害の発生は極めて少ない。育苗時の萌芽性はやや良であり、貯蔵性も特に問題はない。ネコブセンチュウ抵抗性は「強」、黒斑病は「しんや」と同様「弱」を示す(表1)。 2. 蒸切干作業における剥皮は容易で作業性に優れ、蒸切干の外観は「しんや」、「泉13号」と同等である(表1)。 3. 蒸切干の肉色は橙色で「しんや」より濃く、肉質は「しんや」と比べ粘りはやや少ないが、軟らかく、食味は「しんや」及び「泉13号」よりやや上で(表1)、蒸切干製造業者の評価も高い。 4. βカロテン含量は44.8mg/100gDWと「サニーレッド」より高い(表1)。 5. 無マルチ普通掘栽培の上いも重は「しんや」及び「泉13号」より明らかに重く、株当たりいも個数は多い。また、切干歩合は「しんや」より高い(表2)。 6. 現地の3種の土壌地域で栽培した収量はいずれの土壌においても「しんや」又は「泉13号」より高く、これは200g以上のいも収量が高いことによる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 普及予定対象地域は中遠かんしょ栽培地帯の約10haである。 2. カロテン系の多収、良食味蒸切干用品種として期待される。 3. 砂質土壌においては、本年のように夏季乾燥で推移し、秋季に多量の降雨がある気象条件下では、後期裂開する場合がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 育苗 加工 かんしょ 乾燥 生理障害 多収良食味 抵抗性 品種 良食味 |