タイトル | 関東低湿地における無勾配ドレンレイヤーの排水効果 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
奥山泰河(千葉県) 日下勝博(茨城県) 戸倉一泰(埼玉県) |
発行年度 | 2002 |
要約 | ドレンレイヤーで吸水管を無勾配に布設しても、排水効果は有勾配のものとほとんど変わらない。表面水や重力水は、吸水管の勾配ではなく田面から排水路水位までの水頭差で流出しているので、田面から暗渠の排水口までの深さを50cm確保できれば、吸水管が無勾配でも有勾配と同等の排水効果がある。 |
キーワード | 浅層暗渠、ドレンレイヤー、無勾配、排水効果 |
背景・ねらい | 地下水位が高く、従来型暗渠では対応できない湿田を汎用化するための新しい暗渠工法を確立する。現行の土地改良事業計画設計基準は、暗渠は管勾配により排水することを前提としている。しかし、吸水管に勾配を付加して施工すると、下流部が深く埋設されるため、排水路水位が高い場合には、暗渠の排水口が水没して排水効果が減少する。そこで、排水路水位の影響を受けない浅層へ吸水管を無勾配で施工し、その排水特性と有効性を検討する。 調査は、無勾配ドレンレイヤー(5m間隔・埋設深50cm)と有勾配ドレンレイヤー(5m間隔・埋設深50~70cm)を施工した試験圃場(壌質土・1ha)にて行い、地下水位を計測して排水能力を比較する。また、数値計算を行い、無勾配ドレンレイヤーの排水メカニズムを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 降雨後の地下水位低下は、田面下35cmまでは有勾配ドレンレイヤーが速く、それ以深では無勾配ドレンレイヤーが速い(図1)。 2. 田面下5cmの作土の土壌水分(TDR土壌水分計による体積含水率)を計測した結果、吸水管が無勾配となっても、土壌水分の低下速度に大きな差は生じない(図2)。 3. ドレンレイヤー(吸水管口径50mm)の施工断面を想定した暗渠施設(5m間隔)を、管で接続された水槽群と見なし(図3)、数値計算を行って勾配の有無による排水の違いを解析した。その結果、勾配の有無によって排水時間には僅かな差が生じるものの、表面水が排除されて地下水位が低下するまでの時間はほぼ同じである(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 吸水管の無勾配化によって暗渠の排水口が高くなるので、排水先水路の断面縮小や水路底のかさ上げが可能となり、排水路の工事費節減を図ることができる。 2. 無勾配暗渠は田面と排水路水位との差で排水を行うため、暗渠及び排水路設計の際は田面と排水路計画水位の間に50cm以上の差を確保する。また、吸水管内部の堆砂対策や維持管理を計画的に行う必要がある。 3. 試験結果は、暗渠施工後の転換畑利用だけによって得られたものである。水田に復元後あるいは水田と畑とのローテーションで利用した場合の排水効果については、引き続き調査する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 水田 |