チューリップモザイクウイルスの弱毒株17の干渉効果

タイトル チューリップモザイクウイルスの弱毒株17の干渉効果
担当機関 富山県農業技術センター
研究期間 1996~2001
研究担当者 瀬 智之
発行年度 2002
要約 チューリップモザイクウイルス(TBV)は、チューリップの花弁に色割れや葉にモザイク症状をもたらすが、紫外線照射処理によって得られた弱毒ウイルス17株は、強毒ウイルスによる色割れを抑える干渉効果が高い。また生育・球根収量への影響も少なく、TBVの防除が可能である。
キーワード チューリップ、弱毒ウイルス、干渉効果、TBV
背景・ねらい 富山県は全国有数のチューリップ球根の産地であるが、チューリップモザイクウイルス(TBV)によるモザイク病の発生によって球根収量や商品性の低下を招き、球根生産の大きな障害の一つになっている。防除法としては、花弁に現れる色割れや葉のモザイク症状などを指標にした病株の抜き取り以外に、有効な方法がない。また、花弁に色割れの現れない白・黄花品種や、開花に至らない小球では、抜き取りによる防除が難しい。そこで、弱毒ウイルスを利用したモザイク病防除技術を開発する。
成果の内容・特徴 1.
今回、開発したTBVの弱毒株17(球根栽培圃場から、色割れ程度の軽い株LSMを選抜し、これを元株に紫外線照射処理で改良した株)では、強毒TBVの感染株に現れるような明瞭な花弁の色割れや葉のモザイク症状は、発生しない(図1)。
2.
TBV弱毒株17は、強毒ウイルスに対して、安定した高い干渉効果が認められる(表1)。
3.
TBVに弱い品種ハルクロを使用した場内圃場試験及び現地試験においても、色割れは全く認められず、また、草丈などの生育や球根収量は、元株や未接種株と同程度であり、影響が認められない(表2,3)。
4.
以上から、TBVの感染に起因するチューリップの花弁の色割れは、弱毒ウイルスの接種により発現が抑えられ、病株の抜き取り作業の大幅な軽減が期待できる。
成果の活用面・留意点 1.
チューリップの萌芽期に、弱毒ウイルスをカーボランダム法で、健全株に接種する必要がある。
2.
一度接種すれば、球根伝染により子球に移行し、継代される。
3.
17作出後、17感染球を5年間継代しても安定である。
図表1 217043-1.gif
図表2 217043-2.gif
図表3 217043-3.gif
図表4 217043-4.gif
カテゴリ 病害虫 チューリップ 品種 防除 モザイク症

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