タイトル | 毛管ポット耕の開発と夏秋トマトの養液管理法 |
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担当機関 | 新潟県農業総合研究所 |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
本間利光 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 使用済み養液を系外に排出せず低コストで簡易な養液栽培法‘毛管ポット耕’を開発した。毛管ポット耕は防根透水性の不織布ポットに培土を詰め底面給液方式で作物を栽培するものである。夏秋トマトでは土壌溶液EC値を目安に養液濃度を時期別に変更することで、収量が増加する。 |
キーワード | 毛管ポット耕、夏秋トマト、養液管理、土壌溶液 |
背景・ねらい | 養液栽培は省労力でシステム化が可能であるため栽培面積が増加しつつあるが、使用済みの養液の排出により環境へ負荷を与えている事例が多い。また、導入コストが高いため一般農家への導入は進んでいない。そこで、環境負荷低減と低コスト化を図るため新たな養液栽培法‘毛管ポット耕’を開発し、夏秋トマトにおける最適な養液管理法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 毛管ポット耕は防根透水性を有する不織布ポットに培土を充填し作物体を移植し、装置上で栽培する養液栽培法である(図1)。 2. 与える養液はポット下部に配置した樋内に満たしておき、不織布を利用した毛管現象でポット底部から土壌・作物体へ給液するため完全な隔離栽培である。 3. そのため施肥養分の土壌中への溶脱がなく、土壌病害蔓延の危険性が少ないため臭化メチル等の土壌消毒剤処理が不要となる。 4. また、養液はボールタップ等により自動供給し、養液濃度・組成等は土壌溶液・栄養診断に基づき調整するため常に適度な根圏環境を保つことができる。 5. 夏秋トマトでは養液土耕用肥料を用い、定植~梅雨明け前までEC1.1dS/m、その後8月下旬まで0.8dS/m、収穫終了まで1.1dS/mとすると収量が増加する(表1)。 6. このときの土壌溶液EC値の目安は梅雨明け前までは約1dS/m、その後2~5dS/mである(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 肥培管理が容易なため、稲単作農家の園芸作物を取り入れた複合化に適合する。 2. 装置は2500円/3.3m2で自作可能であり、ロックウール耕の約1/5と低コストである。 3. 養液および土壌溶液濃度は栽培管理上の目安となるので1~2週間に1回程度測定し、基準値を超えた場合は速やかに与える養液を希釈するか水を与え濃度低下を図る。 4. 土壌溶液はポット用採水器を用い1回約10ml複数ポットから採取する。埋設深は素焼き部上端が培土表面に位置するようにする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 肥料 栄養診断 環境負荷低減 コスト 栽培技術 施肥 低コスト 土壌消毒 トマト 肥培管理 養液栽培 |