タイトル | ハクサイ黄化病に対する生物防除素材「内生細菌」の効果的な利用技術 |
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担当機関 | 茨城県農総セ農研 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
松本みゆき 上田康郎 諏訪順子 相野公孝(兵庫農総セ農技) 渡邊 健 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ハクサイ黄化病の防除には、苗を内生細菌を含有した培土で育苗し、本圃に細菌類が窒素源として利用できる「尿素ポリマー」を10a当たり200kg土壌混和してから定植することが有効である。さらに、両処理をカーバム剤の土壌消毒跡地に適用すると実用的な高い防除効果が得られる。 |
キーワード | ハクサイ黄化病、生物防除、内生細菌、尿素ポリマー、カーバム |
背景・ねらい | 一般に生物防除は化学防除に比較して効果が低く、不安定であることが多い。そこで、生物防除素材である内生細菌のハクサイ黄化病に対する防除効果を検討するとともに、本菌の現場における最も効果的な利活用技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 内生細菌(蛍光性シュードモナスHAI00377株)を含有した培土(兵庫県農総セ農技作成)をセルトレイに詰めた後、ハクサイ種子を播種、育苗する。さらに、尿素ポリマー(商品名ミクレア)を定植前に10a当たり200kg土壌混和する。 2. ハクサイ黄化病に対して、内生細菌接種苗および尿素ポリマー土壌混和のそれぞれ単独処理の防除効果は低いが、両者を併用すると防除効果は高まる。しかし、生産物の85%が商品価値を失うような本病の多発生条件では、内生細菌接種苗と尿素ポリマー土壌混和の併用処理の防除価は40~60、ハクサイ可販品率は60%前後と防除効果は不十分である(図1、表1)。 3. ハクサイの可販品率が70%以上あるようなハクサイ黄化病の少発生圃場において、内生細菌接種苗と尿素ポリマー土壌混和との併用処理を適用するとさらにハクサイ可販品率が高まり、土壌消毒を行わなくても実用的な収量が得られる(図1、表2)。 4. ハクサイ黄化病の多発生圃場において、カーバム剤(NCS)の全面マルチ消毒(3倍希釈液、10a当たり90l散布混和同時全面マルチ被覆)を実施した圃場では、翌年まで防除効果が持続するが、本圃場に内生細菌接種苗と尿素ポリマー土壌混和の併用処理を適用することにより、さらに高い防除効果が得られる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 尿素ポリマー(窒素全量25%)の施用量は、10a当たり200kgと多いが、本資材は 水に難溶性で雨水による流出が少なく、微生物によって分解され、植物に吸収される。 肥料効果は緩効性で長期間持続する。 2. 内生細菌接種苗と尿素ポリマー土壌混和の併用処理は、総合防除を図るための一手段として用いる。 3. 内生細菌は農薬未登録である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 育苗 栽培技術 土壌消毒 農薬 はくさい 播種 防除 |