タイトル | 着色しやすく食味良好なリンゴ新品種「リンゴ石川1号」 |
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担当機関 | 石川農総研 |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
津川久孝 中野眞一 井須博史 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 「リンゴ石川1号」は、「ふじ」の自然交雑実生から育成・選抜したもので、育成地(石川県金沢市)では10月上旬から中旬に成熟する中生品種である。着色のしやすさと甘酸適和した良好な食味が特徴で、着色が困難な石川県においても無袋栽培で果実全面が濃赤色に着色する。 |
キーワード | リンゴ、新品種、中生品種、無袋栽培、濃赤色 |
背景・ねらい | 石川県のリンゴ品種は晩生の「ふじ」が約7割を占めているため、管理作業が一時期に集中するとともに、受粉樹の確保にも支障をきたしている。一方、現在栽培されている中生品種は「着色が劣る」、「生理障害がおきやすい」などの難点があり、生産者から新品種の開発が求められていた。そこで、本県の気象条件に適合し品質の優れた中生品種の育成に取り組んだ。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「リンゴ石川1号」は、昭和62年の「ふじ」の自然交雑により、得られた166個体の実生の中から育成したもので、平成6年に初結実した。平成13年までの特性調査により「リンゴ石川1号」として選抜し、現在品種登録出願中である。 2. 本品種は着色のしやすさと甘酸適和した良好な食味が特徴で、着色が困難な本県においても、無袋栽培で9月下旬頃より果実全面が濃赤色に着色する。また、着色先行型で着色する9月下旬頃は酸を強く感じるが、10月上旬には酸が抜け始め良好な食味となる。育成地(石川県金沢市)における収穫時期は10月上中旬である(表1)。 3. 果実糖度は15%程度で、「陽光」、「ふじ」と同程度である。酸度は0.5%程度で、「陽光」、「ふじ」より高く、やや酸味を感じる。果実重は300~350gで、「陽光」、「ふじ」と同程度の大玉果である。果形は円~円錐形で外観も良好である(表1、写真1)。 4. 開花期は「陽光」、「ふじ」とほぼ同時期であり、交雑和合性は主要品種である「ふじ」、「つがる」、「さんさ」、「王林」との間で相互に高い(表1、2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 主力品種である「ふじ」より収穫期が1カ月程度早いことから、本品種の導入により収穫作業の分散や気象災害に対する危険分散が期待できる。また、10月上旬の行楽時期に収穫できるので、観光もぎとりなどにも適している。 2. 着色先行型で早期に収穫すると酸味が強い傾向があるため、適期収穫に留意する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 受粉 新品種 生理障害 品種 良食味 りんご |