タイトル | ビワにおけるカメムシ防除資材・農薬のフェロモンを利用した効果評価法 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
三平東作 植松清次 |
発行年度 | 2002 |
要約 | チャバネアオカメムシ集合フェロモンをビワ園内に設置し、果樹カメムシ類の多飛来条件を人為的に作りだすことにより、果樹カメムシ類の少発生年においても、安定的に、果実袋等の防除資材や農薬の防除効果を評価できる。 |
キーワード | ビワ、カメムシ、フェロモン、評価法、防除資材、果実袋、農薬 |
背景・ねらい | 千葉県南地域では、果樹カメムシ類がビワの果実を吸汁加害し、被害を発生させている。 防除対策として資材や農薬による試験を実施してきたが、果樹カメムシ類の飛来、加害の特性上、圃場試験は大規模に行う必要があるとともに、果樹カメムシ類の発生量が年次により異なり、少発生年には試験が成立しない。一方、飼育ケージを用いた小規模なカメムシ放虫試験ではカメムシ被害が再現できないなど、効率的な防除試験が実施できず、果実袋の改良、開発や農薬登録拡大が遅れている。そこで、チャバネアオカメムシ集合フェロモンを利用した果樹カメムシ類の人為的多飛来条件下での防除資材および農薬の効果評価法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 樹カメムシ類の少発生年における自然発生条件下の防除試験では、ビワの果実被害が少なく、防除効果を明確に判定することが難しい(図1、図2)。 2. 尾根等で実用栽培園と隔離されたビワ園において、ビワ袋かけ時の4~5月に、チャバネアオカメムシ集合フェロモンディスペンサーを1樹当たり1本、各樹の樹冠内の高さ約1.5mに設置し、ビワ収穫後までそのまま放置する。ビワ果実は6月に収穫し、カメムシ被害程度を調査する。 3. フェロモン設置園では、果実の被害状況と目視観察から判断し、人為的に果樹カメムシ類の多飛来条件が設定され、果実の被害調査の結果、果実袋の種類や薬剤処理の有無などの処理の効果を評価できる。一方、カメムシ少発生年にフェロモンを設置しない園では、果樹カメムシ類の飛来が少なく、処理の効果を明確に判定できない(図2,表1)。 4. フェロモンの設置方法はロープ含浸処理とディスペンサーをそのまま設置する方法があるが、いずれも多飛来条件が設定できる。しかし、果樹カメムシ類のビワ加害時期が4~6月と長期間にわたること、また、カメムシの飛来量が気温、天候等の気象要因によって左右されることから、ディスペンサーをそのまま設置する方法が良い。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 試験は、集合フェロモンの影響が一般栽培園に及ばないよう、距離的、地形的に隔離された園で実施する。 2. チャバネアオカメムシ集合フェロモン設置条件下で、カメムシの飛来量を調節したり、定量的にモニタリングすることは困難である。 3. 越冬世代成虫が問題となる他の果樹類においても、カメムシの防除資材・農薬の効果評価法として応用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 カメムシ 農薬 評価法 びわ フェロモン 防除 モニタリング 薬剤 |