タイトル | 樹勢が強く、一次加工特性の高い中玉のウメ早生新品種「2M3−41」 |
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担当機関 | 福井園試 |
研究期間 | 1982~2001 |
研究担当者 |
冬廣吉朗 上中昭博 渡辺毅 山本仁 中川文雄 猿橋由恵 宮原継男 高野隆志 田辺賢治 正木伸武 川久保幸雄 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 「新平太夫」と「織姫」を交配し、中玉のウメの新品種「福太夫」を育成した。樹勢が強く側枝の維持が容易で、成熟期は6月中旬で「紅サシ」より10日、「新平太夫」より約2週間早い。果肉歩合が高く、樹脂障害果の発生はみられない。 |
キーワード | ウメ、新品種、果肉歩合、樹脂障害果 |
背景・ねらい | 福井県のウメの主要品種「紅サシ」は短果枝が枯れ込みやすく、側枝の維持が困難なため収量が不安定である。また、「新平太夫」は病害虫に強いものの小玉、晩生であり市場性が劣る。そのため樹勢が強く収穫期の早い、中~大玉で高品質のウメ品種の育成が望まれている。 |
成果の内容・特徴 | 1. 1983年に「新平太夫(種子親)」に「織姫(花粉親)」を交配し、得られた実生の中から育成選抜した。 2. 樹勢は「新平太夫」や[織姫]並に強く、短果枝の枯れ込みも少なく、側枝の維持が容易である。収量は「新平太夫」に劣るが、「紅サシ」より多い。 3. 開花盛期は育成地(福井県三方郡美浜町)において3月10日と「紅サシ」や「新平太夫」に比べて3~4日早い。花粉を有し、自家結実性は「紅サシ」並に高い。発芽期は3月下旬で「新平太夫」並で、成熟期は6月中旬と「紅サシ」より10日、「新平太夫」より約2週間早い(表1)。 4. 果実は豊円形で、果重は30g前後と中玉で、「新平太夫」に比べてやや大きい(写真1)。果皮の地色は濃緑色で、成熟期には淡黄緑色を呈し、着色は陽光面にみられるが、「紅サシ」に比べて少ない。果面に毛じがあり、光沢は少ない。果実の酸は「新平太夫」「紅サシ」並で、果肉歩合は「新平太夫」「紅サシ」並に高い(表2)。 5. 黒星病は「新平太夫」並に強く、かいよう病に対しては「新平太夫」や「紅サシ」に比べてやや弱いが、通常防除で問題はない。 6. 一次(塩漬)加工した場合、核重率や皮破れ率が低く、果肉内部の樹脂障害果は現在のところまったく発生しない(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 成熟期は6月中旬とやや早いが中玉であり、梅干用としての適性が高い。 2. 幼木期から樹勢が強く、生育は良好であるが、多肥条件で発育枝が長大になり捻転し、樹形を乱す恐れがあるため、樹勢の弱い「紅サシ」等より施肥量を減らす。 3. 側枝の枯れこみが少なく着花量が多いため、着果過多になり小果となりやすい。このため間引きを重点にしたせん定や摘果等を実施し大玉生産に努める。 4. 2003年2月に「福太夫」と命名し、同年3月に種苗法に基づく品種登録出願を行った。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 うめ 害虫 加工 加工特性 黒星病 障害果 新品種 施肥 品種 防除 |