タイトル | 太陽熱土壌消毒によるニホンスイセンの葉先枯病の防除技術 |
---|---|
担当機関 | 福井園試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
数馬俊晴 岩本祐佳 下野和彦 小森治貴 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ニホンスイセンの球根を前年から植え付けたままの栽培圃場において、透明ポリエチレンフイルムを畝全面に被覆する太陽熱土壌消毒は、葉先枯病の発生を著しく抑制できる。被覆開始期は7月中下旬の酷暑期とし、被覆期間は1~3週間程度とする。 |
キーワード | ニホンスイセン、葉先枯病、太陽熱土壌消毒、ポリエチレンフィルム被覆 |
背景・ねらい | 福井県花である越前スイセンは、地域特産作物として長年にわたり作付けされているが、近年、フォーマ菌(‘Phoma sp.’)による葉先枯病が多発し、大きな被害を被っている。本病害に対しては登録農薬がないため、耕種的防除法の確立を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 7月中旬から8月上旬の酷暑期に、ポリエチレン・フイルム(厚さ0.03mm)を畝全面にマルチ状に被覆することにより、葉先枯病の発生が著しく少なくなる(表1、表3、写真)。 なお、ポリエチレンフイルムの被覆は、畝の表面が湿っているうちに 、畝に密着させ、フイルムの端は土でしっかり押さえる。 2. 各処理区の地温の積算時間をみると、深さ5cmの無被覆では45℃以上は0時間であるのに対し、2001年度のマルチ区で132時間、マルチ湿潤区では144時間となりトンネルを併用するとさらに長くなる。5cm深の最高地温はマルチ区で53.8℃、マルチ+トンネル区で60.4℃と無被覆の43.1℃より17℃以上高くなる。2002年度についても無被覆では45℃以上にはならないが、マルチ被覆期間が長くなるほど、45℃以上の積算時間が長くなる(表2、表3)。 3. マルチとトンネルを併用すると、高温により球根が枯死し、萌芽率が半分以下となる(表1)。マルチのみでは萌芽率の低下はない(表1、表3)。 4. 被覆期間は1週間でも葉先枯病の発生が少なくなる(表3)。 5. ポリマルチ被覆により、また、その被覆期間が長いほど草丈が伸びる(表3)。 6. ポリマルチ被覆時の球根植え付け深度(球根上部までの深度)が萌芽に及ぼす影響をみると、球根植え付け深度が3cm、5cmおよび10cmでポリマルチの被覆期間が1週間、3週間のいずれも、萌芽率は100%である(2002年度、データ略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 被覆時に表土が乾いていると効果が安定しないので、一雨後か、表土が湿る程度に潅水してから被覆する。 2. ポリエチレンフイルムを被覆する前に、前年の茎葉残さや雑草をできるだけ除去する。 3. 8月中旬以降の処理は、花芽分化や萌芽に影響するので、本技術は用いない。 4. 球根を前年から植え付けたままの圃場において、球根の頭が地表に出ているような植え付け深度が浅い圃場では、高温により球根が腐敗する危険性が高まるので、本技術は用いない。 5. 畝立てしていない圃場の場合、小面積の被覆では、熱が横に逃げ、処理場所の地温が十分に上昇しないので、できるだけ大面積を被覆する。 6. 促成畑、抑制畑など被覆処後に球根を植え付ける作型では、球根植え付け時まで被覆したままでよい。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 雑草 すいせん 土壌消毒 農薬 防除 |