遺伝子導入によるキクへの害虫抵抗性の付与

タイトル 遺伝子導入によるキクへの害虫抵抗性の付与
担当機関 福井農試
研究期間 1997~2002
研究担当者 永井輝行
駒野雅保
篠山治恵
数馬俊晴
石川武之甫
発行年度 2002
要約 塩基配列をキクのコドンに合わせて改変したcry1Ab遺伝子(改変cry1Ab遺伝子)を遺伝子組換え技術によってキク(原品種「秀芳の力」)に導入することで、オオタバコガに対して高い殺虫活性を持つ害虫抵抗性キクの作出が可能になる。
キーワード キク、遺伝子組換え、cry1Ab遺伝子、オオタバコガ抵抗性
背景・ねらい 福井県の主要花き品目であるキクの栽培において、農薬の散布労力や経費の削減と、生産者の健康や環境への負荷軽減を図るため、害虫抵抗性品種を育成することが望まれている。そこで、鱗翅目害虫に高い殺虫活性を有するBacillus thuringiensis var. kurstaki HD-1由来cry1Ab遺伝子およびこれの発現量を高めるため塩基配列を改変した改変cry1Ab遺伝子をキクにそれぞれ導入し、組換え植物体を作出する。また、これらの遺伝子の効果を、キクの大害虫であるオオタバコガ幼虫を用いた生物検定で確認する。
成果の内容・特徴 1.
遺伝子組換え技術によって、塩基配列を改変しないcry1Ab遺伝子を導入したキク(cry1Abキク)では、オオタバコガ初齢幼虫に対する弱い食害抑制効果(非組換え体の食害面積91.1%に対し10.3~12.1%)と発育遅延効果(非組換え体を食料として与えた場合に比べて幼虫期間が約2週間延長)しか認められない(表1、図1)。
2.
cry1Ab遺伝子の塩基配列をキクのコドンに合わせて改変し(GC含量を36.9%から54.9%に増加、アミノ酸615個のうち、442個のコドンを改変)、人工的に合成した改変cry1Ab遺伝子を遺伝子組換え技術によってキクに導入することで、オオタバコガ初齢幼虫に対する強い食害抑制効果(非組換え体の食害面積91.1%に対し0.8~1.9%)と殺虫効果(中腸壁が破壊され、初齢で死滅)を合わせ持つ組換えキク(改変cry1Abキク)が作出される。改変cry1Ab遺伝子による殺虫性タンパク質の合成量は改変前のcry1Ab遺伝子の約2倍に増加する(表1、図1)。
3.
以上から、改変cry1Ab遺伝子をキクに導入することで、オオタバコガに高い殺虫活性を付与することが出来、害虫抵抗性品種を育成することが可能になる。
成果の活用面・留意点 1.
害虫抵抗性のより高い改変cry1Abキクの栽培によって、キク栽培農家の化学農薬防除費の削減と健康管理、環境負荷の軽減に大きく貢献できる。
2.
cry1Abキクについては、閉鎖系温室での安全性評価試験が終了し、文部科学大臣より非閉鎖系温室での実験が許可されている(14文科振第176号)。
図表1 217161-1.gif
図表2 217161-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 きく シカ 抵抗性 抵抗性品種 農薬 品種 防除

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