タイトル | ミカンキイロアザミウマに対するタイリクヒメハナカメムシの探索行動 |
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担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
田中雄一 大野徹 小木曽正敏 |
発行年度 | 2002 |
要約 | ミカンキイロアザミウマに対するタイリクヒメハナカメムシの雌成虫の探索行動に、寄主植物のイチゴの葉や花から発生する揮発性物質と植物体上に残されたミカンキイロアザミウマ(残渣)由来の物質が関与することが示唆される。 |
キーワード | タイリクヒメハナカメムシ、ミカンキイロアザミウマ、イチゴ、探索行動、植物揮発性物質、情報化学物質 |
背景・ねらい | 天敵昆虫には害虫を探索する際に、害虫が植物を加害した時に植物が放出する揮発性物質や害虫の残した物質を利用していることが知られている。このような探索行動に関与する情報化学物質は、周辺環境からほ場への天敵の誘引や定着など行動制御への利用が期待される。タイリクヒメハナカメムシは難防除害虫であるアザミウマ類の有力な捕食性天敵で、様々な植物上に広く生息することが知られている。そこで、情報化学物質を利用したタイリクヒメハナカメムシの行動制御によりアザミウマ類を防除する技術の開発の基礎資料とするため、タイリクヒメハナカメムシのアザミウマ類に対する探索行動を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 1. Y字型オルファクトメーター(図1)を用いて、ミカンキイロアザミウマ成虫とその寄主植物の一つであるイチゴの葉と花から発生する揮発性物質に対するタイリクヒメハナカメムシの雌成虫の反応を調査した。タイリクヒメハナカメムシの雌成虫は餌であるミカンキイロアザミウマ成虫に誘引されないが、未加害のイチゴの葉と花に誘引される。さらに、ミカンキイロアザミウマによる加害葉は未加害葉より誘引効果が高い(図2)。 2. タイリクヒメハナカメムシの雌成虫は、無処理区よりもミカンキイロアザミウマ処理区〈ミカンキイロアザミウマが歩行したガーゼ片(図3)〉に多く滞在し、滞在時間も長い(図4)。 3. タイリクヒメハナカメムシの雌成虫は、イチゴの葉や花から発生する揮発性物質と植物体上に残されたミカンキイロアザミウマ(残渣)由来の物質を手がかりとして探索行動をすると考えられる。また、イチゴはミカンキイロアザミウマに葉を加害されると、さらに誘引効果の高い揮発性物質を発生させることが示唆される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本情報はタイリクヒメハナカメムシの行動制御によるアザミウマ類の防除技術の開発を目的とした情報化学物質の分析と機能の解明に活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 いちご 害虫 カメムシ 防除 |