土壌を利用した低コスト尿汚水浄化処理施設

タイトル 土壌を利用した低コスト尿汚水浄化処理施設
担当機関 群馬畜試
研究期間 1998~2003
研究担当者 浦野義雄
山田正幸
松本尚子
鈴木睦美
発行年度 2003
要約 中小規模の養豚農家が導入できる簡易な尿汚水浄化放流施設である。土壌と遮水シートで低コスト化を図り、専門的知識がなくても管理できる。経営期間に合わせて材質が選べ、汚泥を出さず、沈降分離物と濾材は堆肥化施設での処理が容易である。
キーワード 家畜ふん尿、低コスト、浄化、放流、土壌、遮水シート
背景・ねらい 中小規模農家の中には、高齢で後継者もなく「家畜排せつ物法」の管理基準を守るために多額の投資ができずに悩んでいる農家が見受けられる。そこで、中小規模農家でも設置が可能な低コスト尿汚水処理施設を開発して普及を図る。
成果の内容・特徴 土壌を利用した低負荷型浄化放流施設である。ふん尿は畜舎内で固液分離した後、尿汚水をFRP製沈降タンク及びオガクズ濾過槽で前処理する。前処理した尿汚水は遮水シートで施工した土壌槽(深さ約1m)の表面に散布され、土壌微生物でBODやSSが分解除去される。また、リンは土壌に吸着され、窒素はアンモニア態から硝酸態に変化する。土壌槽下部の処理水は集水され、メタノール(硝酸態窒素の約2倍量)を混合して遮水シートで施工した脱窒槽へ移送される。
脱窒槽(深さ約1m)内のモミガラに付着している脱窒菌により、硝酸態窒素は窒素ガスとなり大気中に放出される。処理水は消毒槽を通して放流される(図)。
1.
放流水はほぼ無色透明で、群馬県の排水基準を満たした。T-Nはメタノールの適正量添加と脱窒槽の保温対策強化で新暫定基準に対応可能と考えられる(表)。
2.
施設面積は肥育豚換算で1頭あたり1.1m2以上必要である。
3.
遮水シートにより槽を施工し、コンクリートは沈降タンク基礎と暖房用燃料タンクの防油堤のみとし低コスト化を図り、設置費は肥育豚換算で1頭あたり11千円(税別)程度と試算される。
4.
冬期の能力低下は、各槽をハウス内に設置し、必要に応じて暖房することで解決できる。
5.
処理対象頭数が肥育豚換算で500~1,000頭、排水量3~6m写真)。
6.
維持管理費は500頭規模で毎月50千円(税別)程度と試算される。維持管理(汚水散水・移送、薬剤等の確認、沈降分離物の処理等)に要する時間は通常30分~1時間程度である。
7.
土壌の耐用年数は、リン吸着から推定すると5~6年程度と考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
既に試験場が指導して県内に普及中であり、今後の設置については群馬県の特許許諾を受けて設計、施工、維持管理指導ができる企業を育成中で、現在3社と契約済みである。
2.
沈降分離物や使用済濾材を処理できる堆肥化施設を所有している必要がある。
3.
積雪地帯及び寒冷地帯では、施設構造を強化する必要があること、暖房費がかさむこと、冬期は換気による除湿が難しく土壌が還元状態になることから、適用は困難である(東北、北海道、日本海側の地方および標高500m以上の地帯)。
図表1 217212-1.gif
図表2 217212-2.gif
カテゴリ 経営管理 低コスト 薬剤

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