タイトル | 排せつ訓練等による豚房内の環境改善 |
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担当機関 | 群馬県畜試 |
研究期間 | 2002~2002 |
研究担当者 |
松本尚子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 子豚の排せつ訓練、送風及び豚房の角とりを実施して、部分スノコ豚房内の排せつ場所と休息場所を区別させることにより、豚房内の環境を清潔に保つことができるとともに、豚房内から発生する臭気の低減化と管理の省力化が可能となる。 |
キーワード | 豚、排せつ訓練、環境改善、臭気低減 |
背景・ねらい | 養豚施設における臭気は経営を持続する上で大きな課題である。臭気を減らすには舎内を清潔に保つことが重要だが、毎日の清掃は重労働であり、豚舎内の臭気対策は大きな負担になっている。そこで飼養管理の工夫として排せつ訓練等で豚房内環境を改善し、豚舎の臭気低減化と管理の省力化の可能性について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 9週齢子豚を離乳豚房から肥育豚房(1/3部分スノコ)に移動する際に排せつ訓練を行った。訓練方法は、(1)スノコ部分を湿らしておき(2)豚を仕切板でスノコ部分に一定時間閉じこめ(3)仕切板を開放するという手順で行った。訓練の成否は導入1週間後に豚房の床面がふん尿や水で湿っておらず乾いていた場合を成功、ふん尿で汚れている場合を失敗と判断した。成功と判断された豚房については、臭気低減効果が保たれた(平成14年3~6月)。訓練できた豚房(65%)の床部分はふん尿で汚れず、NH3濃度は訓練しなかったり失敗した豚房に比べて著しく減少した(表1)。しかし、温湿度の上昇により訓練の成功率は低下した(図1)。 2. 夏季は豚の遊び水や尿量が増えたり、体感温度を下げようと豚がふん尿の上に横たわるため豚房内が汚れやすい。このため床部分を涼しくして休息場所になるように、ビニールダクトを使って0.3~1.0m/sで送風した(平成14年8月)ところ、排せつ訓練は行わなかったが、61%の豚房で床部分をきれいに保つことができた(表1)。 3. 豚房の出入口は排せつ場所になりやすいため、排せつ訓練に加えて出入口の角とりを行う(図3)と、96%の豚房で豚はスノコを排せつ場所にした(平成14年10~3月)。 4. 豚房内で排せつ場所と休息場所が区別されたことにより、ふん尿汚染面積が減少し、臭気の低減につながった。さらに豚房の除糞時間は1/3に、オールアウト時の豚房洗浄時間は2/3に短縮された(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 部分スノコの肥育豚房で実践できる。 2. この試験はセミウィンドレス豚舎1/3部分スノコ豚房内における結果であり、他の構造の豚房での検討は行っていない。 3. 豚房を清潔に保つには日々の観察が不可欠である。急激な温湿度の上昇があると、一夜にして効果が保てなくなるので、排せつ訓練等だけでなく温湿度の管理も重要である。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 飼育技術 省力化 豚 |