タイトル | ニホンナシの早期多収技術「樹体ジョイント仕立て」 |
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担当機関 | 神奈川農総研 |
研究期間 | 1999~2004 |
研究担当者 | |
発行年度 | 2003 |
要約 | 近年、ナシ産地では「幸水」、「豊水」等主要品種が高樹齢化し、生産力が低下している。今後、ナシ産地の活性化を図るには、急速な若返り更新が必要であるが、大苗育成による方法では、成園化まで10年近くを要する上、育苗圃場の確保が難しく、現地での導入例が少ない。このため、慣行の2本主枝仕立てよりも早期多収で、せん定等の管理技術も平易な仕立て法を開発する。 |
キーワード | ニホンナシ、仕立て、早期多収、接ぎ木 |
背景・ねらい | ニホンナシ「幸水」のハウス栽培では、露地栽培に比べて果形が縦長になりやすく、セイヨウナシ型(以下ヨウナシ果)や有てい果等の変形果が発生し、果実等級を下げる原因になっている。そこで、開花始めから満開後30日間の温度と変形果発生との関係を解明し、防止技術を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ニホンナシ「幸水」の「樹体ジョイント仕立て」は、主枝を一方向へ延長し、先端部を隣接樹の主幹肩部へ接ぎ木により連結し、複数樹を直線状の単純な樹形にする仕立て法で、結実における無効部分である主枝先端部やふところ部が極めて少ない特徴をもつ(図1)。 2. 連結は、高接ぎ時の穂木接ぎ木と異なり極めて容易であり、供試した10樹については全て活着した。 3. 「樹体ジョイント仕立て」の収量は、2003年は夏期の天候不順により減少したものの、樹齢5年から8年までは、対照の慣行2本主枝仕立てと比較し20~76%多く、早期多収性が認められる(図2)。 4. 新梢の生育は、2本主枝仕立てでは先端部へ向かうほど急激に総新梢長(長さ15cm以上の新梢の長さ合計)が減少するのに対し、ジョイント仕立てでは、連結部まで総新梢長が長い(図3)。 5. 2本主枝仕立てと異なり、主幹から遠い主枝先端部の側枝が弱くなるため更新用の枝も確保できなくなる現象は本仕立て法では認められない。 6. 5年間の果実品質比較では、果実重、果実糖度とも慣行2本主枝と同程度である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本仕立ての植栽間隔は、株間2m、列間4mで、10a当たり125本の苗が必要となる。対照とした2本主枝仕立ては、株間4m、列間4mである。 2. この試験では、1997年3月に2年生苗を定植し、主枝先端部が隣接樹へ到達した2~3年後の1999~2000年に順次接ぎ木連結した。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 管理技術 栽培技術 樹体ジョイント 高接ぎ 多収性 接ぎ木 品種 |