タイトル | 平坦園での落果集果機等を用いた完熟ウメの効率的収穫法 |
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担当機関 | 福井園試 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
渡辺毅 冬廣吉朗 上中昭博 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 高品質の一次加工品(塩漬け梅)ができる完熟落果ウメを、平坦園で効率良く収穫するには、樹間中央部に果実が集まるように傾斜をつけてネットを張り、福井園試等が開発した落果集果機を用いる。この収穫法により集果時間は手作業の約1/5に短縮できる。 |
キーワード | 完熟ウメ、落果集果機、軽労働省力化 |
背景・ねらい | 近年、青ウメの需要停滞や単価の不安定により、出荷形態は一次加工品にシフトしているが、生産現場は高齢化が進展しており、ウメの作業時間の中で最も多くの時間を要する収穫作業の軽労働省力化が求められている。そこで平坦園における完熟落果ウメの効率的な集果法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 平坦園での収穫ネット(4mm目の防風ネットを使用)の張り方としては、平張りよりも傾斜張りの方が、落下果実が樹間中央部に集まるため手作業の場合短時間で集められる。落下果実が多くなる6月下旬以降において、20kgの果実を手で拾い集める時間を比較すると傾斜張りは、平張りの約60%である(図1)。 2. 開発した落果集果機は、全長1750mm、全幅1000mm(集果幅650mm)、高さ830mmで定格出力2.6ps/1800rpmのエンジンを搭載し、集果部、搬送部、果実貯留部からなる。集果方式は、機械前方に取り付けたベルト地の回転ブラシによってネット上に落下した完熟ウメを拾い集め、サン付きベルト(コンベヤ)によって後方に置いた収穫コンテナに入る仕組みになっており、最大集果量としては15kg/minが可能である。なお、機械は自走式で、前進2段で後進もできる(写真)。 3. 10アール当たりの傾斜張りしたネット上の果実を拾い集める総時間は、手では21時間であるのに対し、機械集果は約1/5の4時間程度である。落果最盛期での20kg集める時間は、手作業では約15分であったのに対し、機械では約2分で手作業の約15%で集めることが可能である(表1、図2)。 4. 手で落下果実を拾い集める作業は、足腰を曲げなければならない上に、常に拾い集めた果実を持ち運ばなければならない等重労働であるのに対し、機械集果では正常姿勢で作業ができ、労働負担が極めて軽い。 5. 機械集果では果実に擦り傷がわずかにみられたが、一次加工品の品質には問題がない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 水田転換園等平坦園で栽培面積が多く、一次加工に重点を置いた大規模生産者の収穫の省力化に貢献できる。 2. 機械の走行に支障がないように整枝に努める。 3. 拾い残しを少なくするために機械の走行路を整地しておく。 4. 開発した落果集果機は特許出願中である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | うめ 加工 出荷調整 省力化 水田転換園 |