タイトル | ワサビのべたがけ栽培による生育促進 |
---|---|
担当機関 | 東京都農業試験場 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
澁澤英城 田邊範子 小寺孝治 沼尻勝人 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ワサビ田における用水の温度は、周年、ワサビの生育適温に近接している。保温力の高い長繊維不織布を用いたべたがけは、被覆下の気温を水温に近づけ、より生育適温に近づける効果がある。このため、べたがけ栽培は、慣行栽培に比べて生育を促進し、収量を増加させる。 |
キーワード | ワサビ、べたがけ、環境調節、生育、収量 |
背景・ねらい | 東京都奥多摩町は、町の農業生産額の6割をワサビが占める全国有数の産地である。ワサビの生育適温は8~18℃とされ、良質で高収量を得るにはこの条件を確保することが重要である。水量豊富な湧水はこの条件を満たすために貴重な資源であり、良質な水源をもつ山間地域で産地が形成されてきた。そこで、ワサビ田の用水の持つ環境機能をより有効活用するために、べたがけによる夏季の気温低下や冬季の気温上昇などの環境改善を試み、生育促進や増収を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 高温期のべたがけは内部の気温上昇を抑制し、特に晴天時の日中の効果が高い。また、べたがけ資材は湿った状態にあり、湿度は常に100%近くを保ち、高温期のべたがけでは遮光効果に加え、用水で冷却された空気を保冷する効果がある(図1)。 2. 低温期ではべたがけによって内部気温の低下を抑制し、特に、夜間の保温効果は著しい。また、湿度は常に高くなる(図2)。 3. べたがけ栽培は、慣行栽培と比べて地上部重、主根茎重、分げつ根茎重、分げつ根茎数および主茎葉数が増加する(表1)。また、主根茎の肥大を促進し、大きなサイズの主根茎数を増加させる(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. べたがけ資材は軽くて保温力の高いポリエステル製の長繊維不織布を使用する。ワサビを定植した後、被覆し、資材の周辺部を石で押さえて風で飛ばされないようにする。生長に応じて展張を緩めていき、収穫まで被覆する。 2. 良質な水源をもつワサビ田では活用できるが、夏季の干ばつ時に用水が枯れるような田では、一般畑地と同様に高温となるため、夏季のべたがけは不向きである。 3. べたがけは、栽培初期では、カブラハバチやアブラムシなどの防虫効果が期待できるが、中期以降は無被覆条件と同様の虫害を受ける。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | かぶ 栽培技術 わさび |