タイトル | LAMP法による遺伝子組換え植物の迅速・簡易な検出 |
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担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 2002~2003 |
研究担当者 |
神戸三智雄 水上優子 石田朗 福田至朗 |
発行年度 | 2003 |
要約 | LAMP法によりCaMV 35S プロモーターを含む遺伝子組換え植物の簡易検出法を開発した。本法では、60℃で60分処理した後の反応液の白濁で検出できる。また、リアルタイム濁度測定装置を用いることにより組換え植物の含有率の推定が可能である。 |
キーワード | LAMP法、CaMV 35S プロモーター、遺伝子組換え |
背景・ねらい | JAS法の下で組換え農作物の品質表示基準が実施されたことにより、表示を監視するための簡易な検知技術の開発が必要とされている。現在は、ELISA法などの抗原抗体反応を利用した手法や競合PCR法やReal-time PCR法などPCRを基本技術とした手法により、組換え農作物の検出が行われている。 近年開発されたDNA増幅技術LAMP法は、短時間で効率的に遺伝子を増幅できる画期的な手法である。本研究ではLAMP法を用い、現在実用化されている組換え農作物のほとんどに利用されているCaMV 35S プロモーターの検出技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. CaMV 35S プロモーターの配列から設計したF3、B3、FIP、BIP、F-Loop、B-Loopの6種のLAMPプライマーセットを用いCaMV 35S プロモーターを検出できる(図1)。 2. 60℃、60分のLAMP反応後の反応液の白濁を観察することにより、供試サンプル中のCaMV 35S プロモーター配列の存在の有無を判定できる(図2)。これにより、本配列を含む遺伝子組換え植物の定性的な検出が可能となる。 3. リアルタイム濁度測定装置を利用したReal-time LAMP法では、遺伝子組換え植物の含有率が高いサンプルから順に0.5%含有率のサンプルまで濁度の上昇が認められ(図3)、本法によって、供試サンプル中の組換え植物の含有率推定が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 標的となるDNAごとに設計したプライマーを用いることにより、CaMV 35S プロモーター以外の塩基配列の検出が可能である。 2. 本法を利用することにより簡易に遺伝子組換え体を検出できるため、組換え遺伝子の環境への拡散調査など、多数のサンプルからの遺伝子検出に活用できる。 3. LAMP法はごく少量の鋳型DNAの混入も検定する鋭敏な反応である。供試試料以外のDNAの混入を防止するため、試薬調整と検出を異なる場所で行う、増幅産物を扱う際には別室で行う等の注意が必要である。 |
図表1 | ![]() |
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