イネレトロトランスポゾンTos17の転移により生じた早生突然変異体

タイトル イネレトロトランスポゾンTos17の転移により生じた早生突然変異体
担当機関 富山農技セ
研究期間 2002~2003
研究担当者 村田和優
発行年度 2003
要約 「日本晴ミュータントパネル」の表現型調査で見出した早生突然変異体「NE0796」は、レトロトランスポゾンTos17の転移により遺伝子が機能を失って変異が引き起こされている。変異ヘテロ型では出穂が約1週間~10日早くなり、変異ホモ型では約2週間~20日早くなる。
キーワード イネ、レトロトランスポゾン、Tos17、遺伝子機能解析、出穂期
背景・ねらい イネゲノムプロジェクトによりDNAの全塩基配列が決定され、存在する遺伝子の数も推定されたが、その多くについては生育上実際に機能する役割が未解明である。特に農業上の重要な形質では、関わる遺伝子の総数および各々の機能はほとんど解明されていない。イネに内在するレトロトランスポゾンTos17の転移により遺伝子の働きをランダムに失わせたミュータントパネルは、その転移領域と変異表現型を照合させることによって、遺伝子の機能解析に非常に有効なツールとなり得る。本研究では「日本晴ミュータントパネル」の表現型を調査し、得られた早生突然変異体を用い、出穂期を制御する遺伝子の解析を行う。
成果の内容・特徴 1.
「日本晴ミュータントパネル」で見出した早生突然変異体「NE0796」はTos17の転移によって遺伝子が機能を失った突然変異体である。
2.
R2分離世代では、正常に出穂する野生型、約1週間~10日早生化する変異ヘテロ型(早生タイプ1)、および約2週間~20日早生化する変異ホモ型(早生タイプ2)が分離する(表1)。
3.
野生型の自殖後代では野生型のみが、早生タイプ1の自殖後代では野生型・早生タイプ1・早生タイプ2が、早生タイプ2の自殖後代では早生タイプ2のみが出現する(図1)。
4.
図2(ゲノミックサザン分析)の矢印で示したバンドが原因遺伝子に挿入されたTos17を示している。このTos17の挿入位置隣接領域を解析することによって、農業上有用である出穂期制御遺伝子の一つをTos17レトロトランスポゾンタッギングにより単離することが可能である。
成果の活用面・留意点 1.
この遺伝子を単離して形質転換に利用することによって、出穂期ならびに開花期を制御した形質転換植物の作出に繋がる。
図表1 217373-1.jpg
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