タイトル | 中山間地帯における飼料イネ栽培技術 |
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担当機関 | 長野農事試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
袖山栄次 斎藤稔 細井淳 中澤伸夫 土屋学 谷口岳志 酒井長雄 手塚光明 新井利直 福田久 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 中山間地帯の高標高による冷涼気象地帯における飼料イネ栽培は、飼料イネ専用品種を用い、施肥を多めに行い多収とし、早めに落水して地耐力を確保し、専用収穫機を用いて収穫・調製する。 |
キーワード | 飼料イネ、中山間地帯、飼料作物、イネホールクロップサイレージ |
背景・ねらい | 飼料イネ栽培は、耕種農家サイドからは転作作物として、畜産農家からは自給飼料として注目されている。イネを食用ではなく飼料作物として栽培するには、省力・低コスト生産が必須条件である。気象条件の厳しい中山間地帯における飼料イネ栽培において、イネホールクロップサイレージ(ロールベール)体系を前提とした直播栽培を軸とした省力栽培を確立し、当該技術の普及を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 品種は収穫期間を幅広くするため、中生は「信交507号」中晩生は「ほそおもて」、極晩生では「クサホナミ」を用いる(表1、2)。これらの品種は耐倒伏性強の多収品種である(表1)。なお、1品種当たりの適収穫期間は概そ20日間である。 2. 飼料イネの収穫時期は原則的に黄熟期のため、食用品種より高標高であっても栽培できるが、移植栽培は、1000m直播栽培では800mが限度標高である(表1)。 3. 直播栽培の播種量や、移植栽培の栽植密度は一般食用栽培どおりとする。施肥量は一般食用栽培の~倍量を基準とする(データ略、2003成果情報候補。 4. 省力・低コストをねらって、カルパー無粉衣種子を利用する場合は、出芽率がカルパー処理種子に比べ20%程度劣るため相当量の播種量を増やす(データ略2002成果情報) 5. 追肥作業を省くための緩効性肥料を用いた全量基肥技術は、追肥体系と同等以上の収量が得られ有効である(データ略、2003成果情報候補)。 6. 専用収穫機械の走行性を確保するため、中干しは通常栽培どうり実施し、落水を通常栽培より早く、出穂後12~18目から実施し、地耐力を確保する(データ略、2001成果情報)。 7. 収穫は、黄熟期収穫を原則とし(表3、専用の収穫・調製機械を用いてイネホールクロップロールベールサイレージを製造する(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 「信交507号」は育成中の系統である。 2. 飼料イネは、餌として利用されるため、農薬は使用しないことを原則とする。 3. 農薬の使用時期限度の「収穫○日前まで」は一般栽培と異なり黄熟期収穫の場合、10日程度早まることに注意する。 4. 倒伏は、収穫時に土砂が混入するため、サイレージ発酵を強く阻害し、品質低下を招く原因となる。 5. 落水後は「走水」で飼料イネ生育に支障のない圃場水分を確保する。 6. 飼料イネ栽培圃場は、団地化し、用水管理・収穫作業等の効率化や混種防止を図る。 7. 飼料イネ生産では、茎葉も含めた全生産物が圃場外に持ち出されるため、有機物補給に努める。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 栽培技術 直播栽培 収穫機 飼料作物 施肥 中山間地域 低コスト 農薬 播種 品種 水管理 |