タイトル | 即時制御灌水システムを導入したトマトの養液土耕栽培マニュアル |
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担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
山田良三 川嶋和子 金子良成 今川正弘 矢部和則 菅原眞治 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 養液土耕栽培におけるトマトを対象に、トマトの水分生理に適応した即時灌水制御と窒素の日施用量調節方式による効率的な栄養管理を組み合わせた施設トマトの栽培マニュアルを作成した。 |
キーワード | 養液土耕、トマト、即時灌水制御、日窒素施用量、栽培マニュアル |
背景・ねらい | 多大な労力を要する施設野菜生産にあっては、農業従事者の高齢化と、他産業への就職機会が多い地域事情によって担い手不足が深刻化しており、高生産性が可能な持続的生産技術の確立が産地から強く望まれている。そのため、施肥の効率化と節水効果が期待でき、設備導入に要する初期投資が比較的少ない養液土耕栽培技術を開発し、施設トマト生産における栽培マニュアルを作成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 灌水方法は圧力変換器付きpFセンサーと灌水制御器を組み合わせて、生育ステージ毎の適正なpF(土壌水分)で灌水を行うシステムである。 2. 土中に埋設したpFセンサーと灌水制御器が土壌水分を常時モニタリングし、土壌水分が設定値以上になった時、即時に灌水されるため、品質の向上と節水栽培が可能である(写真、表1)。なお、灌水時間は施肥後の朝8時から午後2~3時までとする。 3. 灌水制御は促成トマト栽培では定植後2週間程度はpF1.6、第2果房開花期から摘心まで2.2とする。摘心後はpF2.2~2.4に設定し、株当たり1回の灌水量を100~200mlとする(図1)。また、半促成栽培では、着果負担と高温が重なる時期にpF設定を2.0に下げ尻腐れ果の発生を防ぐ(図2)。 4. 促成トマト栽培では定植後の窒素施用量は10~30mg/株/日程度であるが、第3花房~第4花房開花時(第1~2果房が肥大期に入る)になると着果負担がしだいに大きくなるため、100mg/株/日程度まで増加させ、葉柄汁液中(診断部位:肥大期の果房直下葉の小葉の葉柄)の硝酸イオン濃度が急激に低下しないようにする。半促成栽培でも同時期に150mg/株/日程度まで窒素施用量を増加させる。摘心時期(第1~2花房収穫期)以降は、1日当たり窒素施用量を段階的に50mg程度まで少なくし、5段果房収穫以降は0mgとする(図1、2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 簡便な養水分管理マニュアルを作成して農家に配布する。 2. 栽培土壌の養分状態は様々であるため、残効窒素、発現窒素量を考慮すると同時に窒素栄養診断基準値を参考にして日窒素施用量を増減する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 栄養診断 栽培技術 施肥 トマト モニタリング |