タイトル | トマトの環境保全型養液栽培システムの構造と給液管理 |
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担当機関 | 栃木農試 |
研究期間 | 2000~2004 |
研究担当者 |
人見秀康 石原良行 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 環境保全型養液栽培システムは、クリプトモス培地の下に培養液を貯える毛管吸水槽を有する栽培槽および自動給液装置等で構成される。給液ECは1.2~1.6dS/m、毛管吸水槽の水位は培地下2~6cmで管理する。 |
キーワード | トマト、養液栽培、給液EC |
背景・ねらい | ロックウール栽培では余剰な培養液の排出や使用済み培地の処理など、環境への負荷が懸念されていることから、有機物培地を用いた排液を出さない新たな養液栽培システムを開発し、本システム適した給液管理技術を確立するために、給液ECおよび毛管吸水槽の水位制御技術を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 開発した環境保全型養液栽培システムは、クリプトモス培地、培地台、培養液を貯留するための毛管吸水槽および不透水シート、遮根シート、浸潤性シートからなる栽培槽と自動給液装置等で構成される。給液方法は、培地給液がドリップチューブを用いてタイマーで、毛管吸水槽給液は三極電極等の水位センサーで制御することとし、培養液は培地上および毛管吸水槽に垂らした浸潤性シートを介して培地底面から供給される(図1)。 2. 定植3週間後から収穫始期までの給液ECは、高いほど培地内養液ECが高まり、硝酸態窒素、カルシウム、マグネシウム等のが蓄積する。生育は給液ECが高いほど旺盛となるが、収量は給液EC1.6dS/mで多く、健全果等品質は給液ECが低いほど優れる。このため、給液ECは1.2~1.6dS/mが適すると考える(表1、図1)。 3. 毛管吸水槽の水位について、生育および収量は培地底面から2cmより6cmおよび変動(培地底面から6cm下になったら2cmまで給液する)で優れ、6cmでは4、5月の収量が変動よりやや少なく尻腐れ果の発生が多い傾向である。このため、三極電極等を用い変動で管理する場合は培地下2から6cmとし、フロートを利用して水位を一定で制御する場合は12月中旬から2月中、下旬までは培地下6cm、以後はやや高めて概ね4cm程度で管理すればよい(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 育苗は培地にクリプトモスを用いて50穴セルトレイで行い、定植は4~5葉期が適する。 2. 定期的に培地内養液ECを測定し、概ね3dS/mを超える場合は、株当たり2L程度の原水をドリップチューブからかけ流す。 3. 品種は「ハウス桃太郎」、培養液処方は「大塚A処方」である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 管理技術 くり 栽培技術 トマト 品種 養液栽培 |