茶園での樹冠下点滴施肥による亜酸化窒素放出量の低減

タイトル 茶園での樹冠下点滴施肥による亜酸化窒素放出量の低減
担当機関 愛知農総試
研究期間 2002~2003
研究担当者 糟谷真宏
辻 正樹
樋江井清隆
木下忠孝
発行年度 2003
要約 尿素肥料を液肥に用いた茶園での樹冠下点滴施肥は、土壌への無機態窒素の蓄積を生じさせず、亜酸化窒素の大気への放出量を低減できる。
キーワード 茶、樹冠下点滴施肥、亜酸化窒素、無機態窒素
背景・ねらい 茶園は比較的施肥量が多いことと土壌が酸性化しているため、温室効果ガスの亜酸化窒素の放出量が多い。愛知県が開発中の樹冠下点滴施肥方式は、土壌への無機態窒素の蓄積を生じさせないことから、亜酸化窒素放出量を低減できる可能性がある。そこで、豊田市のてん茶園で、樹冠下点滴施肥による亜酸化窒素放出量低減効果を、有機質肥料主体の慣行施肥を対照として明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
土壌表層(0~20cm)の無機態窒素量の推移をみると、有機質肥料を主体とした施肥窒素量725kgN/haの慣行施肥では、特に施肥後、硝酸態窒素の蓄積が認められる。一方、樹冠下に液肥を点滴施肥した場合には(液肥窒素濃度40mgN/Lただし3/15~5/14は120mgN/L、施肥窒素総量580kgN/ha)、無機態窒素は高濃度に蓄積することはなく、低いレベルで安定して推移する(図1)。
2.
茶園土壌からの亜酸化窒素放出速度は、図1に示すとおり、有機質肥料主体の慣行施肥では春~夏にうね間で高まるが、樹冠下点滴施肥では樹冠下で夏季にやや高まる程度で、年間を通してより低いレベルで推移する。亜酸化窒素放出速度とうね間・樹冠部面積割合、測定間隔日数から推定した亜酸化窒素の放出量は、慣行施肥では、茶園の1/4の面積に相当するうね間からの放出量が茶園全体からの放出量の7割を占め、逆に、樹冠下点滴施肥では樹冠下からの放出量が8割を占めた(表1)。
3.
施肥窒素量に対する亜酸化窒素の放出割合は、慣行施肥では7.6%に及ぶと推定された。樹冠下点滴施肥では同4%であり、年間の亜酸化窒素放出量は、慣行施肥の1/2程度に低減できる(表1)。
成果の活用面・留意点 1.
使用した液肥は、窒素成分に尿素を用いた複合肥料(窒素12%うち尿素11%、りん酸5%、加里7%)である。
2.
樹冠下点滴施肥は施肥窒素量500kgN/ha以下での栽培を視野に入れて開発中であり、施肥量によっては、さらに亜酸化窒素放出量を低減できる可能性がある。
図表1 217413-1.gif
図表2 217413-2.gif
カテゴリ 土づくり 肥料 施肥 てん茶

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