倒伏に強くオオムギ縞萎縮病抵抗性の大麦新品種「さやかぜ」

タイトル 倒伏に強くオオムギ縞萎縮病抵抗性の大麦新品種「さやかぜ」
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所
研究期間 1986~2003
研究担当者 吉岡藤治
塔野岡卓司
河田尚之
吉田めぐみ
谷尾昌彦
松井勝弘
古庄雅彦
牧野徳彦
福岡忠彦
宮川三郎
発行年度 2003
要約 大麦新品種「さやかぜ」は、オオムギ縞萎縮病Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型に抵抗性を有する、渦性の六条皮麦である。短強稈で、耐倒伏性に優れ、多収の中生種である。麦茶用、精麦(押麦)用に適する。群馬県で奨励品種(認定)に採用。
キーワード オオムギ、縞萎縮病抵抗性、短強稈、耐倒伏性、麦茶適性、新品種
背景・ねらい 六条大麦は、関東東海地域では主に「カシマムギ」「すずかぜ」(主に麦茶用)、「シュンライ」(主に精麦用)が作付けされている。「カシマムギ」は、成熟期に中折れ・倒伏し易く、収量性が劣り、「すずかぜ」は整粒歩合が劣るという欠点がある。また、いずれの品種もオオムギ縞萎縮病に弱いか、十分な抵抗性を持たない。そのため、精麦及び麦茶適性を有し、オオムギ縞萎縮病Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型に抵抗性で、耐倒伏性に優れた多収品種の育成が望まれている。
成果の内容・特徴
  1. 「さやかぜ」は、1986年度に、多収性、良質性およびオオムギ縞萎縮病抵抗性を育種目標にして、「関東皮70号」/「関東皮68号(後の「すずかぜ」)」の人工交配を行い、系統育種法により選抜・固定を図り育成した品種である。2003年度の世代は、雑種第17代(F17)である。
  2. 「さやかぜ」は渦性の皮麦で、次のような特徴がある(表1)。
    1. 秋播性程度はⅠで、茎立性が中程度の中生種である。
    2. 「カシマムギ」に比べて、出穂期・成熟期ともに4日程度遅い。
    3. 短強稈で耐倒伏性に優れ、「カシマムギ」に比べて多収である。
    4. オオムギ縞萎縮病のⅠ・Ⅱ・Ⅲ型に対し抵抗性である。
    5. 赤かび病にはやや弱である。
    6. 整粒歩合が「すずかぜ」に比べて優れる。
    7. 押麦用としての精麦品質が優れる。
    8. 麦茶加工適性・麦茶品質とも、「カシマムギ」や「すずかぜ」と同程度であり、麦茶適性がある。
成果の活用面・留意点
  1. 温暖地東部の平坦地を中心とした地帯に適する。
  2. 赤かび病に強くないので、防除基準に従い適期防除を徹底する。
  3. 凍上害に弱いので、特に軽しょう土壌では踏圧を励行する。
  4. 耐湿性は中程度なので、排水不良田では排水対策を行う。
図表1 217440-1.gif
カテゴリ 病害虫 育種 萎縮病 大麦 加工適性 新品種 耐湿性 多収性 抵抗性 品種 防除 麦茶

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