生ごみ処理物含有油脂成分の作物への影響と簡易判定法

タイトル 生ごみ処理物含有油脂成分の作物への影響と簡易判定法
担当機関 神奈川農総研
研究期間 2001~2005
研究担当者 竹本 稔
武田 甲
発行年度 2003
要約 生ごみ処理物のpHが7以上では油脂含有率が極めて低く、処理物pHは、油脂含有の有無の目安となる。また、「油取り紙への油浸とう度合い」や「エタノール抽出液の水混合時の白濁度合い」の併用により簡易な油脂含有の判定が可能である。
キーワード 生ごみ処理物、作物生育、油、判定法
背景・ねらい 生ごみを原料とした堆肥については、塩分、油脂分の土壌集積による作物生育障害や、含有成分のばらつき等が懸念されている。そこで、生ごみ処理装置によって生じた処理物の油脂含有量が農業利用面に及ぼす影響を検討する。併せて、生ごみ処理物中の油脂分の簡易な判定方法について検討する。
成果の内容・特徴 1.
ビン培養試験においては、生ごみ処理物の油脂添加量が多いほど無機態窒素割合が低く推移し、ポット試験におけるコマツナの発芽率、生育量は低い傾向にある。生育量が低下した主な要因は、油脂分による発芽抑制や窒素成分無機化の遅延が考えられる(図1、表1)。
2.
供試した生ごみ処理物の油含有率は、0~20%程度であり、処理物により異なる(図2)。また、油含有率とpHの関係は、処理物のpHが7以上では油含有率が極めて低いため、pH7以上では油による生育阻害が発生する可能性は低い(図2)。
3.
油脂分の簡易判定法として、浸透性の良い紙上(油取り紙)に生ごみ処理物を圧着、静置した場合の紙への含有油脂分の浸とう度合いにより油脂含量を推定する手法を検討したところ、油取り紙への浸透度は油含有率5%以下では認められず、それ以上で紙への浸透が見られた(図3)。
4.
生ごみ処理物のエタノール抽出液に水を添加した時の白濁の程度での含有油脂分の判定では、油含有率4~5%程度から白濁程度の増加が認められた(図4)。
5.
pHが低い試料では両方法により、生ごみ処理物中の油脂含有の有無を判定することができると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
処理物油脂含有率はpHと両方法の利用により、現場での効率的な判定が可能である。
2.
油取り紙利用による油脂分判定法は、油取り紙のみで判定可能であるが判定に3日間程度の期間が必要である。
3.
エタノール抽出液利用による油脂分判定では即時に判定が可能である。
4.
本試験では紙重量、吸光度とも、両法は視覚的にも判別可能である。
5.
エタノール抽出液利用による油脂分判定では、白濁部分が沈降するため、迅速に測定する(30分以内)。
図表1 217451-1.gif
図表2 217451-2.gif
図表3 217451-3.gif
図表4 217451-4.gif
図表5 217451-5.gif
カテゴリ こまつな

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