タイトル | 被覆肥料を用いたキャベツのセル内施肥による減肥栽培 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
川上敬志 |
発行年度 | 2003 |
要約 | キャベツのセル成型育苗において、培養土に被覆燐硝安肥料を600g/L混和したセル内施肥法は、本圃基肥及び追肥を省略しても慣行施肥法と同等以上の収量が得られ、夏どり栽培では43%、春どり栽培では71%の減肥となる。 |
キーワード | キャベツ、セル内施肥、被覆肥料、減肥、残存窒素低減、省力化 |
背景・ねらい | これまで、多肥傾向にあった露地野菜産地では、施肥由来の硝酸態窒素による地下水汚染が指摘されるようになり、施肥法の改善が求められている。そこで、キャベツの施肥窒素量を削減するため、全生育期間に必要とする肥料をあらかじめセル成型苗の培養土へ混和するセル内施肥法について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本セル内施肥では、培養土1Lに対し、窒素を24%含む被覆肥料(2401M-70S;試作肥料)を600g混和する。このときの本圃への持ち込み窒素量は、9.2kg/10a(栽植株数4,167株/10a)に相当する。供試した2401M-70Sは、初期30日間(育苗期間)は溶出が抑制され、その後は速やかに溶出する(図1)。 2. 夏どり栽培における収穫時の結球重は、セル内・追肥区が最も重く、次いで慣行・追肥区(対照)及びセル内・無追肥区は同程度であり、慣行・無追肥区は軽い(表1)。 春どり栽培では、セル内・追肥区及びセル内・無追肥区は同程度で重く、慣行・追肥区(対照)及び慣行・無追肥区はこれらに比べて軽い(表2)。 3. 春どり栽培跡地土壌の硝酸態窒素は、セル内・追肥区及びセル内・無追肥区では各層2mg/100g乾土以下に対し、慣行・追肥区では30~60cm層に8~9mg/100g乾土と多く残存する(図2 )。 4. 以上のことから、キャベツのセル内施肥法は、追肥を省略しても本圃基肥及び追肥を施用する慣行施肥法と同等以上の収量が得られ、夏どりでは43%、春どりでは71%窒素施用量が削減でき、かつ収穫後の土壌残存硝酸態窒素量も低減できる環境保全型施肥技術である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 被覆肥料2401M-70Sの溶出率は温度に依存する。盛夏期の育苗では濃度障害を防ぐため、育苗ハウス内の日平均気温を30℃以下とするような昇温対策を施す。 2. 2401M-70Sにはリン酸及び加里がほとんど含まれないため、同一圃場でセル内施肥栽培を続ける場合は土壌診断を定期的に行い、圃場の養分バランスを把握する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 育苗 キャベツ 省力化 施肥 土壌診断 |