タイトル | ふすま施用の土壌還元消毒による施設内黒ボク土の化学性 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
安西徹郎 久保周子 牛尾進吾 山本二美 大塚英一 片瀬雅彦 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 土壌還元消毒を行うと作土の無機態N、可給態P5、交換性陽イオンは消毒前の含量が少ない場合には増加し、多い場合には減少する傾向にある。ふすまの窒素分解率は18~43%で、施設内土壌によって異なる |
キーワード | |
背景・ねらい | 土壌還元消毒(以下還元消毒と記す)は、農薬を使わない土壌病害虫の防除技術として千葉県内各地の施設で実施されている。この消毒法では、10アール当たり約1トンのふすまを施用後、一時的に湛水状態になるまで灌水し、土壌表面をフィルムで覆い土壌を一時的に還元状態にする。このため、消毒後の土壌の化学性は大きく変化することが予想される。そこで、還元消毒後の土壌管理の一助とするため、黒ボク土施設における還元消毒前後の作土の化学性の変化、及び還元消毒中のふすまの分解性を調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 還元消毒後(フィルム除去直後)の作土の無機態N、可給態P5、交換性陽イオン含量は、消毒前(ふすま施用前)の含量が少ない場合には、溶脱や脱窒による量が少ないため、ふすまによる養分の富化が顕在化して増加する。一方、多い場合には、溶脱や脱窒する量が富化される量を上回るため、減少する傾向がみられる(図1~3)。このため、塩類の集積した施設における還元消毒は除塩作用を伴う。 2. 還元消毒前の無機態NはほとんどNO図1)。 3. 還元消毒終了時点のふすまの窒素分解率は18~43%、平均32%、炭素分解率は43~67%、平均55%であり、いずれも最大25%の差がある(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 還元消毒前の個々の作土の化学性から消毒後の化学性を推定することは難しい。したがって、消毒後の化学性は土壌診断により把握する。なお、ECからNO3-Nを推定する場合には、消毒後耕耘して土壌を十分に酸化状態に戻したのちECを測定する。 2. 塩類が集積した施設で還元消毒を行うと、除塩作用による土壌養分の溶脱が大きい。このため、塩類が集積しないように土壌の養分管理を行い、環境への影響をできるだけ少なくする。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 土壌診断 農薬 防除 |