タイトル | 作物体リアルタイム窒素診断のための試料採取条件 |
---|---|
担当機関 | 東京農試 |
研究期間 | 1998~2002 |
研究担当者 |
加藤哲郎 益永利久 丸田里江 上中章雄 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 試料処理は調整の容易さや採取量等から加水の搾汁がよい。作物体中の位置で硝酸イオン濃度が異なるので採取位置を一定にする必要がある。また、天候で硝酸イオン濃度が変化することを考慮して、試料の採取は晴天時の午前中に採取するとよい。 |
キーワード | リアルタイム診断、硝酸イオン、搾汁法、採取部位、採取時間 |
背景・ねらい | 生育段階での土壌および作物体の状況を短時間で把握し、作物栄養診断を行うため、簡易な診断機器等を用いた診断が行われるようになってきた。試料液の調整法や作物体の部位、採取時間、採取時天候により硝酸イオンの分析値が大幅に変動するため、試料の採取条件の確立が急務である。そこで診断の信頼性を高めるために、キャベツなどの葉菜類とキュウリなどの果菜類において試料の採取条件を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 抽出方法による硝酸イオン濃度の違いをみると、キャベツではそのままの搾汁液が最も高く、次いで加水搾汁して抽出する方法が高い。水の中に裁断した作物体を1時間浸けて成分を溶出させる浸出法では硝酸イオン濃度は最も低かった。このとき、作物体の裁断長が長いほど硝酸イオン濃度は低くなる傾向がある(図1)。 2. 浸出法で浸出時間を変えたところ、時間経過に従って硝酸イオン濃度が上昇する。キャベツでは72時間後でも加水搾汁法の濃度値まで達していない(図1)。抽出方法としては、水を加えながら作物体を潰して搾汁抽出する方法がよいと考えられる。具体的には、乳鉢で磨り潰したあと、洗い出すように水を加えながらニンニク絞り器に濾紙を敷いて絞った場合と、小型の電動ミルの中に試料と水を加えて粉砕したあと濾過する方法とを行った。両者に差はなかった(データ略)。 3. 各作物とも葉柄と葉身とを比較すると、診断部位としては硝酸イオン濃度の高い葉柄が適している(図3)。 4. 天候による違いをみると、晴天時にはキュウリ上部葉で硝酸イオン濃度が低下し、雨天時には高い状態である(図3)。試料の採取は晴天時に、一定部位からの試料採取が望ましいと考えられる。 5. 露地定植3ヵ月後の生育の盛んなキュウリでは、加水して搾汁抽出の場合、晴天時の朝8時から10時に硝酸イオン濃度が高く、12時過ぎには低下する(図4)。キュウリでは、午前中の試料採取が望ましいと考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 収穫後のキャベツ生試料およびを加水搾汁した抽出液を4~5時間以上放置(25℃)すると硝酸イオン濃度は低下するので、試料採取後および抽出後は速やかな分析が必要である。 2. リアルタイム診断の実施では、各試験場所で統一した方法を用いることが望ましい。現段階では、天候や採取部位、分析法、生育ステージなどの各種条件を一定にするとともに、その条件を明記することが最低限必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 栄養診断 キャベツ きゅうり 栽培技術 にんにく |