三宅島降下火山灰の特性と土壌の変化

タイトル 三宅島降下火山灰の特性と土壌の変化
担当機関 東京農試
研究期間 2000~2003
研究担当者 益永利久
加藤哲郎
丸田里江
野呂孝史
矢沢宏太
発行年度 2003
要約 火山灰は降下後21月程度経過すると細かい粒子が少なくなり、粗い部分だけが残っている。灰の堆積厚が2cm以下では化学性の問題は少ない。灰厚が12cmの場合には石灰分等が残っており、土壌中にも混り込むと土壌中の含量が高くなる恐れがある。
キーワード
背景・ねらい 噴火後の降下火山灰が土壌に混入すると物理性を悪くしたり、各種成分含量が高くなり、農業再開時に弊害の起こることが懸念される。そのため、2000年7~8月に噴火降灰の終ったあと、降雨等を受けた火山灰の粒径分布や土性、化学性、および土壌状態について経時的な変化を調査・検討し、帰島後の土壌改良対策に役立てる。
成果の内容・特徴 1.
全島から6地点(No.1:神着下馬野尾、2:神着ナタード、3:伊豆、4:阿古、5:阿古山辺、6:坪田)を選定し、降灰直後から灰の粒径分布を定期的に分析したところ、噴火直後の火山灰ではシルトや粘土分が多い。21ヵ月後ではすべてがSL(砂壌土)である(図1、2)。雨水などにより細かい粒子が流れ去ったためと推察される。さらに、火山灰下の土壌中に、割れ目や孔隙を通り灰が流れ込んでいるのが確認される。
2.
6地点の灰の化学性を経時的に調査したところ、降下9ヵ月後のpH(H2)。
3.
降灰下の土壌の化学性では、噴火9ヵ月後のpHは灰の堆積厚が厚いほど低い傾向がある。降灰34ヵ月経過後には、pHのばらつきが小さくなっている。ECは堆積厚が4~6cm以上では降灰後34ヵ月経過しても0.4mS/cm以上である。塩基類は全体に低下傾向にある。陽イオン交換容量はやや低下傾向にある。有機物含量は減少傾向がみられる(表1、2)。
4.
以上より、降下後34ヵ月経過時点では、灰の堆積厚に関係なく降灰下の土壌が悪化している状況ではない。しかし、今後耕耘で灰が混入した場合には灰中に残っている交性石灰が土壌に入ることが考えられるので、堆積厚が厚い地点では灰を除去する必要がある。除去の労力を考えると、灰の堆積厚が薄い地点では土壌と混ぜ込んでの耕耘も考慮する必要がある。また、営農を再開する際には、苦土、カリ等の不足した養分を補い、土壌有機物の補給や物理性等の改良のため、肥料成分の少ない植物質堆肥の施用が必要である。
成果の活用面・留意点 1.
今後帰島後の農業再開にあたってこれらのデータを活用する。このほか、降灰地域では、十分な土壌診断とそれに基づく土壌改良が必要と考えられる。
図表1 217462-1.gif
図表2 217462-2.gif
図表3 217462-3.gif
図表4 217462-4.gif
カテゴリ 肥料 土壌改良 土壌診断

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