タイトル | チオファネートメチル剤使用中止後の耐性ダイズ紫斑病菌の推移と防除対策 |
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担当機関 | 富山農技セ |
研究期間 | 1994~2003 |
研究担当者 |
岩田忠康 向畠博行 山崎陽子 守川俊幸 松崎卓志 斉藤 毅 梅沢順子 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 紫斑病のチオファネートメチル剤耐性菌比率は薬剤の使用中止後、一定レベル以下には下がらず、また一旦使うとすぐに急上昇することから、再使用は難しい。最近登録された薬剤の中で、アゾキシストロビン剤やイミベンコナゾール剤の防除効果が高い。 |
キーワード | ダイズ、紫斑病、チオファネートメチル、薬剤耐性、防除 |
背景・ねらい | 富山県ではチオファネートメチルの効力低下が明らかになった1996年度から全面的にその使用を中止した。当時は代替薬剤が銅剤しかなく、しかも殺虫剤との混合剤もなかったことから、生産現場からチオファネートメチル剤再使用の要望が高かった。そこで、耐性菌の推移を調査するとともに、チオファネートメチル剤を含め、より防除効果の高い新規薬剤を検索する。 |
成果の内容・特徴 | 1. チオファネートメチル剤の耐性菌発生後その使用を中止すると、県内各生産地と農試原種での高度耐性菌比率(チオファネートメチルが1600μg/mlでも菌糸生育する菌株)は徐々に減少する傾向を示すが、中止後8年を経過しても、一定レベル以下には下がらない(図1)。 2. 耐性菌比率が低下しても再度チオファネートメチル剤を使用すると、高度耐性菌比率は100%近くに上昇することから、ダイズ紫斑病では一旦本剤の耐性菌が発生すると再使用が難しい(表1)。 3. アゾキシストロビン剤とイミベンコナゾール剤の2剤は中~多発条件下でも防除効果が高く、イミベンコナゾール剤の散布適期は開花後3~4週間目頃である(表2、図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. チオファネートメチル剤に対して既に高度耐性菌が発生している地域及び今後発生が懸念される地域等での防除対策に利用できる。 2. 効果が高い剤でも今後の耐性菌発生を回避するため、同一薬剤の連用を避け、作用機作の異なる剤との輪番散布を実施するようにする。さらに各地域で使用開始前の各剤に対する感受性ベースライン調査とモニタリング調査を行っておくことが望ましい。 3. アゾキシストロビン剤の開花期後35日以降の散布で、ダイズの落葉が遅延する事例が報告されている。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 大豆 耐性菌 防除 モニタリング 薬剤 薬剤耐性 |