市販水分センサの土壌水分測定に対する土壌塩分の影響

タイトル 市販水分センサの土壌水分測定に対する土壌塩分の影響
担当機関 愛知農総試
研究期間 2003~2004
研究担当者 榊原正典
発行年度 2004
要約 市販の誘電式水分センサ(ECH2O)は、土壌塩分の影響が小さいと言われているが、実際にはわずかな土壌塩分変化でも激変して現場での使用は困難である。FDR水分センサ(CS-615)は、0.2S/mまでの低濃度の土壌塩分範囲内で限定使用できる。
キーワード
背景・ねらい 土壌中の水分を瞬時、簡単、正確、安価に計測することは、土壌物理研究者の長年の夢であり、特に土壌中の塩分濃度と温度の影響を受けない水分センサは、水質の悪い地方での点滴灌水の制御や除塩灌水のために、また家畜糞堆肥や食品残渣の発酵管理のために必要とされるが、未だに実現していない。
本試験では、市販されている誘電式水分センサとFDR水分センサを使用して土壌水分計測を行い、その土壌塩分濃度の影響を見た。
成果の内容・特徴 1.
試験は、砂質土壌(乾土)に、蒸留水及び0.2,0.5,1,4S/mの濃度の異なるKCl溶液を飽和するまで一定量ずつ散布後撹拌して落下法にて容器に詰め、見かけの土壌電気伝導度ECa、水分センサの電気的出力及び重量法による体積含水率θを計測したが、水分検定曲線は土壌塩分濃度によって大きく異なる(図2)。
2.
誘電式水分センサ(Decagon社のECH2O:図1-a)は、電極が樹脂製基盤に内蔵されて測定媒体から絶縁されているので、測定媒体中の塩類濃度に影響されないと言われているが、土壌塩分濃度により体積含水率の検量線は大きく変動し、高濃度の場合は分級不能となり、低濃度の場合はわずかな塩分濃度変化でもセンサ出力が激変するので現場での使用は難しい(図2-a)。
なお、飽和水分時の土壌抽出溶液のECの目安は、露地畑土壌では0.1S/m未満であり、施設園芸土壌では0.3S/m、施設園芸の塩類集積土壌では1S/m、海岸砂では4S/m程度である。
3.
FDR水分センサ(Campbell社のCS-615:図1-b)は、0.2S/mまでの土壌塩分範囲では同一検量線で体積含水率を求めることができ、限定使用できる(図2-b)。
4.
水分センサの測定に対する塩分補正については、4電極土壌電気伝導度計で計測した見かけの土壌電気伝導度ECaと補正係数との相関関係はなく、CS-615の手引き書では図上での内挿法による補正を指示しているが、実際のところ補正は不可能である。結局、土壌塩分濃度の影響のない水分センサを新たに開発する以外に方法はない。
5.
2種の市販水分センサを塩分濃度の異なる溶液中に水没させた100%水分値を計測すると、低濃度の0.05S/mから影響が出始め、塩分濃度と共に大きく変動する(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
現況の市販水分センサは土壌塩分濃度の影響を受けるので、カタログの使用条件や実測データを検討して使用する。
2.
誘電式水分センサ(ECH2O)は、供給作動電圧の変動により出力が変わるので定電圧装置を使用する。また20cm用センサの出力は不安定であるから10cm用の使用を奨める。
図表1 217567-1.jpg
図表2 217567-2.gif
図表3 217567-3.gif
カテゴリ 施設園芸

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