タイトル | 携帯電話を使った牛の分娩開始の感知 |
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担当機関 | 富山畜試 |
研究期間 | 2003~2004 |
研究担当者 |
吉田稔(富山農技セ) 高橋正樹(富山畜試) 深津時広(中央農研) 菅原幸治 平藤雅之 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 携帯電話を用いた簡易な分娩監視システムである。分娩時に腟内に挿入した分娩感知センサーが排出されると、温度低下を感知し、分娩開始を自動的に携帯電話に通知し、牛の分娩状況を携帯電話の動画機能によりリアルタイムで確認できる。 |
キーワード | |
背景・ねらい | 畜産経営の大規模化にともない、飼養管理の効率化・生産性向上を図っていくためには、畜産農家が畜舎にいない場合においても、適切な管理や制御ができることが必要となってくる。中でも牛の分娩監視は畜産農家にとって、分娩時の母牛への適切な助産や出生子牛の速やかな処置のために重要な作業であるが、分娩開始時刻を正確に予測するのは困難である。また、これまでの監視装置は携帯電話によるリアルタイム動画監視には対応していない。このため本研究では、近年著しく高性能化している携帯電話を用いて、畜産農家にとって重要な分娩の監視を動画により簡易かつ自動的に行える牛の分娩監視システムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 第3世代携帯電話用モニタリング装置(N社)を応用し、簡易型分娩監視システムを構築した(図1)。本システムにより、携帯電話の操作でカメラのスイッチを入れ、動画による分娩徴候の確認ができる。また、本システムは、携帯電話で遠隔地からライトをON/OFFすることができ、夜間の分娩にも対応している。分娩感知センサーは無線式で、分娩予定牛の腟内に挿入したセンサーが分娩時に排出されると、温度低下により自動的に携帯電話に通知する。 2. 携帯電話への通知はリアルタイム動画で行われ、畜産農家は畜舎に行かなくても分娩予定牛の状態を把握できる。 3. 分娩感知センサーを挿入した11頭のうち、センサーが排出されなかった1頭を除いた10頭の分娩において、センサー排出から携帯電話への通報までの所要時間は平均10分である(表1、2)。 4. 分娩までに分娩感知センサーが排出された10頭のうち、難産で破水から分娩まで7時間を要した1頭を除くと、センサー排出から分娩までの平均所要時間は1時間18分である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 牛の分娩事故防止に活用できる。特に、自宅と畜舎が離れている場合に有効である。 2. 携帯電話は、TV電話機能に対応している必要がある。 3. 分娩感知センサーの挿入は、分娩予定日前1週間前後に挿入する。 4. 畜舎内温度が分娩感知センサー設定温度(33℃)より高い場合は、センサーが反応しないため利用できない。 5. 腟腔の大きさおよび形状により、分娩感知センサーの誤排出が起こったり、排出しない場合がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 経営管理 飼育技術 大規模化 肉牛 モニタリング |