ミトコンドリアDNAを用いたフジヨーク交雑豚の母系解析

タイトル ミトコンドリアDNAを用いたフジヨーク交雑豚の母系解析
担当機関 静岡中小試
研究期間 2003~2007
研究担当者 井手華子
奥村直彦*(*STAFF研)
寺田圭
知久幹夫
堀内篤
発行年度 2004
要約 静岡県のフジヨークに特異的なミトコンドリアDNA塩基配列多型を検索し、その多型をPCR-RFLP法により判別することで、フジヨークをその他の豚と判別する。
キーワード ブタ、ミトコンドリアDNA、非コード領域、母系解析
背景・ねらい 静岡型銘柄豚は、フジヨークの雌にランドレースの雄を交配したWLのF1雌に、フジロックの雄を交配した三元交雑豚を銘柄として認定している。静岡型銘柄豚であることを証明するには、これらの種畜の特定が不可欠である。そこで、フジヨークが肉豚生産用F1雌ブタの母豚として使用されたことを証明するため、フジヨークに特異的なミトコンドリアDNA(mtDNA)塩基配列を検索し、その多型を利用した判別方法を検討する。
成果の内容・特徴 1)
フジヨーク15頭、他県の大ヨークシャー種系統豚14頭(岐阜県4頭、徳島県5頭、富山県5頭)の計29頭のmtDNA・非コード領域の塩基配列を調べた。mtDNA・非コード領域の約710bpを比較したところ、26ヶ所の塩基多型部位が存在し、その結果10のハプロタイプに分けられる(図1)。
2)
今回確認された10のハプロタイプのうち、フジヨークで確認された2つのタイプ(ハプロタイプ5・ハプロタイプ8)は、他県の大ヨークシャー種系統豚と比較して特異的な塩基配列部位が存在する(図1中の塩基番号277、289、302、407)。
3)
今回確認された大ヨークシャー種におけるmtDNAの10ハプロタイプは、日本イノシシの配列と起源を同じとするアジア系と、ヨーロッパイノシシの配列と起源を同じとする西洋系の両方が存在する(図2)。
4)
フジヨークで特異的な塩基配列部位が、これまでにその他の豚で報告があるかどうかを調べるため、DNAデータベース(GenBank/DDBJ/EMBL)および文献で同領域の塩基配列と相同性を調べた。その結果、これまでの報告と比較しても、フジヨークで確認されたこの2つのハプロタイプにおける特異的な塩基配列部位は、特異性の高いものであることが確認される。
5)
今回得られた10のハプロタイプにおいて、フジヨークで特異性の高い塩基置換部位を認識する制限酵素を用いてPCR-RFLPを行ったところ、フジヨークとその他の大ヨークシャー系統と判別することが可能である(図3)。
6)
食肉センターでと畜された198頭の豚についてこのPCR-RFLPを行ったところ、フジヨークのタイプ5と同じものは0頭(0%)、タイプ8と同じものは3頭(1.5%)と非常に少なく、止め雄のDNAマーカーと組み合わせることにより実際の食肉流通における銘柄豚識別が十分可能であると考えられる。
成果の活用面・留意点 1.
mtDNAのタイプをフジヨーク特異的なものに統一することにより、肉豚生産用F1雌豚の母豚にフジヨークが供用されたことを科学的に証明できる。
2.
mtDNAのタイプがフジヨークと同じであるブタが少数ながら存在することから、これらに関してはフジヨークとの判別ができない点に留意する必要がある。
図表1 217628-1.gif
図表2 217628-2.gif
図表3 217628-3.jpg
カテゴリ データベース DNAマーカー 肉牛

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