家畜ふんと混合する未利用資源のメタン発酵素材としての評価

タイトル 家畜ふんと混合する未利用資源のメタン発酵素材としての評価
担当機関 滋賀農総セ
研究期間 2002~2007
研究担当者 渡辺千春
土井真也
藤田 耕
発行年度 2004
要約 家畜ふん尿主体のメタン発酵において、発酵の効率化のためには、有機物含量の多い未利用資源(廃棄物系バイオマス)との混合が有効である。窒素含量の多い素材は混合時にC/Nが低くなり、消化液中に有機酸およびアンモニアが蓄積し発酵阻害を起こす。
キーワード メタン発酵、未利用資源、有機物含量、C/N、発酵阻害
背景・ねらい メタン発酵システムは家畜ふん尿等のバイオマスをエネルギーに変換し、資源循環型社会の形成に貢献できる技術として期待されている。また、家畜ふん尿主体のメタン発酵では食品残さ等の混合処理によりバイオガス発生量が増加することが報告されている。そこで、地域に賦存する未利用資源(廃棄物系バイオマス)について発酵素材としての評価を行い、畜産を核とした地域特性のあるバイオガスシステムの確立を図る。
成果の内容・特徴 メタン発酵の主体となる家畜ふんは、搾乳牛のふんを水で2倍に希釈し、5mmメッシュのふるいで粗大固形物を除去したものを用いた。発酵条件は55℃の高温発酵方式、滞留日数18日の連続投入運転とした。未利用資源の評価は、生ゴミ、トウフ粕、廃シロップ、ブルーギル、養魚場汚泥について行った。
  1. メタン発酵の基質となる有機物は、廃シロップが最も多く、牛ふんの3.4倍で生ゴミ、トウフ粕の約2倍である(表1)。
  2. ブルーギルの有機物は牛ふんよりやや多い程度で、窒素濃度が高く、C/Nは低い(表1)。
  3. 養魚場汚泥は乾物および有機物が少なく、灰分が高い(表1)。
  4. 有機物負荷が概ね2kg/m3・日となるよう牛ふんに対し各素材を混合すると、その混合割合は容積比で廃シロップが50:1、生ゴミ、トウフ粕、ブルーギルは4:1である(表2)。
  5. 生ゴミおよびトウフ粕の混合により、牛ふん単独に対しガス発生量が約2倍になる(図1)。
  6. 廃シロップは、わずか2%の混合でガス発生量が約1.6倍になる(図1)。
  7. ブルーギルは混合物のC/Nが低く、ガス発生量は半減する。また、消化液中の有機酸およびアンモニウムイオン濃度が極めて高値を示し、発酵阻害が示唆される(図1、2)。
  8. 養魚場汚泥を混合すると牛ふん単独より有機物濃度が低くなる(表2)。
  9. 養魚場汚泥はガス発生量が極めて低く、発酵素材としての評価は低い(図1)。

成果の活用面・留意点
  1. 有機物含量の多いバイオマスについて、窒素濃度が高くC/Nの低い素材を利用する場合、その混合割合の検討が必要である。

  2. 地域に賦存するさまざまな素材を混合する場合、有機物含量およびC/Nを目安としてそれらを組み合わせる必要がある。

図表1 219927-1.jpg
図表2 219927-2.jpg
図表3 219927-3.jpg
図表4 219927-4.jpg
カテゴリ 乳牛 未利用資源

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