タイトル | 飼料イネ用ロールベーラの成形ベール専用籾破砕装置 |
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担当機関 | 三重科技セ |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
浦川修司 吉村雄志 乾 清人 山本泰也 松岡清隆 平岡啓司 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 飼料イネ用ロールベーラによって成形されるベールは片側に穂部が偏る傾向がある。その特徴を利用した専用籾破砕装置は、穂部が集中しているベールの片側50cmの部位を3軸ローラで処理する構造であり、70%以上の籾に破砕処理を加えることができる。 |
キーワード | 飼料イネ用ロールベーラ、稲発酵粗飼料、穂部割合、籾破砕処理、粗飼料 |
背景・ねらい | 稲発酵粗飼料の子実(籾)は籾殻で覆われていることから、その潜在能力を最大限に引き出すためには籾の破砕等の処理を行うことが必要である。一方、飼料イネ用ロールベーラ(以下、コンバイン型専用機を飼料イネ用ロールベーラという)で成形されたロールベールは片側に穂部が偏ることが問題点として指摘されている。そこで、その特徴を利用して穂部が集中しているベールの片側だけを処理する専用の籾破砕装置を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 開発した籾破砕装置はV字型エレベータによってベールを回転させながら解体・搬送し、分草板によって穂部が集中しているベール片側50cmの部位をホッパ内へ投入し、均平機を用いて一定量の材料草を3軸ローラへ送り込んで破砕処理する構造である(図1)。 1. 飼料イネ用ロールベーラで成型したロールベールは中心から50cmの幅の中に約65%の穂部が集中しており、また約5cmに切断してあることから、V字型エレベータで回転させることで容易に解体し、分草板によって穂部が集中している部位だけをホッパ内へ投入することができる。さらに、ホッパ内へ投入された材料イネは均平器によって一定量を処理部(3軸ローラ)へ送り込むことができる(図1)。 2. 2軸ローラによって籾の破砕処理を行った場合、茎葉部の割合が多いと破砕率は低くなるが、3軸ローラを用いることで穂部が50%以上含まれるホールクロップ状態の材料イネでも70%以上の籾に破砕処理を加えることができる。但し、穂部割合が高くなると、枝梗から籾が外れる割合(脱粒率)も高くなる(図2)。 3. 本機を用いて穂部が集中しているベールの片側(穂部割合:65%)を処理した場合の籾破砕の様相と比率は、籾が潰れた状態(圧砕)が20~30%、籾殻に亀裂が生じた状態(亀裂)が約40%、部分的に籾殻が剥がれた状態(部分剥離)が30~35%であり、玄米の状態になったもの(完全剥離)は1%程度である(表1)。 4. 本機によって処理した破砕処理籾の牛を用いたナイロンバッグ法で測定した第一胃内乾物有効分解率は、無処理籾に比べて顕著に高く36%である。また、遅分解性区分の割合が高く、第一胃内でゆっくりと分解される消化特性を有する(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 飼料イネ用ロールベーラで成形・調製した稲発酵粗飼料のベールの籾破砕処理に用いることができる。 2. 既存のロールベーラや他の専用収穫機で成形したロールベールには、本機を利用することはできない。 3. 籾の破砕率は供試ロールベールサイレージの穂部割合、水分含量、籾の大きさ、破砕部の各ローラの間隙等によって異なることが想定される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | くり 収穫機 |