シート施設における堆肥化と利用技術

タイトル シート施設における堆肥化と利用技術
担当機関 栃木畜試
研究期間 2003~2004
研究担当者 北條 享
発行年度 2004
要約 市販の不浸透性シートを利用した堆積施設(以下「シート施設」)は、発酵中途の堆肥や製品堆肥を貯蔵保管しておくストックヤードとして、補完的に利用するのに有効である。また、切り返し作業を行う、あるいは通気管を埋設することで、堆肥化を促進することが可能となり、堆肥化施設としても用いることができる。
キーワード 家畜ふん尿、シート施設、切り返し
背景・ねらい 家畜排せつ物法に対応し、低コストで省力的なふん尿処理および保管技術の確立が緊急課題であることから、畜産農家で即導入可能な技術を実証し、ふん尿処理・保管施設の適正な整備に資する。
成果の内容・特徴 1.
これまで野積みされていたふんを隣接地で堆積保管することを想定し、市販の不浸透性シートを利用した排汁回収機能を有するシート施設を当場の飼料畑圃場に設置した。牛ふんとオガクズ及びモミガラを主原料に、水分72%未満、容積重700kg/m図1)。
2.
切り返し作業を行わない場合、120日間の堆積では表層とそれに近い部位のみ好気発酵や乾燥が進むが、堆積物の中央部から底層部にかけては自重による圧密のため嫌気状態になり、好気発酵は滞る。一方、同じ120日の堆積期間でも30日毎に切り返し作業を行うことで、70℃を越える発酵温度が数日継続し、より有機物の分解も進むなど、全体的に好気発酵が進む(表1)。シート施設上で切り返し作業を何度か行う場合、施設の施工にあたり床土に10%量の生石灰を混和し鎮圧造成することにより、床土の泥ねい化や重機の沈降を防ぐことができる。
3.
シート施設で切り返し作業を行えない場合は、通気管(市販の暗渠管、φ50mm)を数本埋設しておくことで、強制送風を行わなくとも堆積物の内部(通気管の周囲20㎝程度)まで空気が届き、部分的に好気発酵や乾燥を進めることができる(表1)。
4.
堆肥化途中(水分50%程度)の堆肥を堆積保管すると、堆積後も緩やかに好気発酵が進み、多量の雨水が浸入することが無い限り、排汁の滞留や床土の泥ねい化のような現象は起きない。
5.
シート施設を畜産農家自身や仲間との共同作業で自己施工することで、施工に要する経費は資材費のみで済み、設置費用はm2の施設2基を完工するのに要した時間は、大人3名とフロントローダー1台で、およそ4時間であった(ただし堆積物の搬入に係る時間は除く)。
成果の活用面・留意点 1.
一部の酪農家や肉牛農家でシート施設が導入され、堆肥化施設や堆肥保管施設として活用されている。
2.
シート施設の設置後は、排汁の回収や処理、施設の点検修繕など、適正な管理が必要である。
3.
生石灰は強アルカリ性であり、加水時に発熱が起きることから、取り扱いには十分注意を払う。また、市販の土壌固化剤を使用する場合は、土壌との混合割合や加水量などの使用方法を販売メーカーに相談してから利用する。
図表1 217643-1.gif
図表2 217643-2.gif
図表3 217643-3.gif
カテゴリ 乾燥 ストック 低コスト 肉牛 乳牛 保存・貯蔵

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